日本は無理? 過激がウリの米カスタムカーショー大人気! なぜ盗難車から焦げた車まで展示するのか
米国で開催されるカスタムカーの祭典「SEMAショー」には、盗難車から焦げたクルマまで、一般的なモーターショーでは見られない個性豊かなクルマが展示されるといいます。いったいなぜ許されるのでしょうか。
ニュースを騒がせたマシンがまさかの出展!? 展示に至った経緯は
毎年10月末から11月上旬に、火曜から金曜日の4日間でアメリカにて開催される「SEMAショー」には、日本や欧州をはじめとしたほかのモーターショーでは到底出展されることのない、ユニークな車両が多数登場します。
日本の自動車メーカーのブースにも、普段では「ありえない」驚きの出展車が数多く登場しました。なぜSEMAショーでは、ほかのモーターショーでは見られない個性的なクルマが出展されるのでしょうか。
筆者(加藤久美子)は、1990年代前半からたびたびSEMAショーの取材に出かけていますが、2019年の取材ではなんと盗難車が出展されているのを見ました。さすがに盗難車の展示を見たのは今回が初めてです。
Quintin Brothers Auto and Performance(QB社)が制作したダッジ「チャレンジャー」は、SEMAショーに出展すべくラスベガスのホテルの駐車場に停めていたところ、盗難に遭いました。
間もなくネバダ州ハイウェイパトロールやラスベガス警察のパトカー14台によって追跡が始まりますが、逃げられないと覚悟した犯人はパトカーにクルマをぶつけ、チャレンジャーは大破損。最高出力1000馬力以上にチューニングされたチャレンジャーが痛々しい姿になってしまいました。
しかしQB社はこのチャレンジャーを「そのまま」出展することに決定。その理由を同社にたずねてみたところ、次のようにいいます。
「私達は、このチャレンジャーをSEMAショーに出展するという目的のためだけに、時間と費用をかけて作ってきました。盗まれ、破壊されたことはとても残念ですが、地元警察をはじめ多くの人々の協力と助けによってチャレンジャーは戻ってきました。現状を見てもらうためにそのまま出展することにしました」
このニュースはCNNやFOXなど主要テレビ局のニュースでも大々的に取り上げられ、全米に放送されました。アメリカらしいともいえる、驚きの展示でした。
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次に紹介するのは、こちらもかなり「アメリカらしい」といえるかもしれない、北米市場向けのトヨタ「タンドラ」です。
ランプ類の米国大手メーカーであるSPYDER社のブースには、車両右側が「焦げた」タンドラが出展されていました。ブースの担当者に話を聞いてみると、こちらは2018年11月にカリフォルニア州北部で発生した山火事の際、大活躍したタンドラということがわかりました。
地域の病院で看護師長を務める男性が、迫りくる山火事から患者達を避難させ、炎のなかを自らも同僚と一緒に避難したときに、乗っていたクルマです。
ランプ類は熱で溶けてしまいましたが、なんとこの状態でもライトは点灯して、自走も可能だったとのこと。米国トヨタはこの男性に、新しいタンドラを、この多くの人命を救ったタフなタンドラと引き換えにプレゼントしたのでした。
ちなみにプレゼントされたその新しいタンドラも焦げたタンドラの隣に展示されていました。SPYDER社他数社の手によって、さらにヘビーデューティ―な仕様にカスタムされています。
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