AT車しか乗らないのになぜMT免許を取得する? AT免許の隠れた時短効果とは
新たに免許を取得する人にとって、MTも運転できる「普通自動車免許」(MT免許)か、ATのみ運転できる「普通自動車免許AT限定」(AT免許)のどちらかを選ぶのは悩ましいところです。新車の多くでATしか設定されない現在、なぜMT免許を取得したのか、インタビューしてみました。
新車のほとんどはAT車! なぜMT免許を取得した?
ひと昔前は「MT車を上手に運転できること」がモテ男の必須条件でしたが、いまや新規普通免許取得者の約6割以上が「AT限定免許」(以下、AT免許)を取得する時代となっています。
そもそも近年はデビューした新型モデルの約98%がAT設定のみという状況で、MT設定があるのは一部のスポーツカーやスポーティなグレードのみ。しかもATの進化に伴い多くの車種で「MTモード」を搭載しており、普段はATモードを使い、気分に合わせてMTモードを選択することが可能になっています。
F1をはじめとするレースマシンですらセミATが当たり前のご時世だけに、自動車メーカーもMT設定を見送るケースが増えているのは必然なのかもしれません。

そう考えると約6割を占めるAT免許で支障がないともいえますが、残りの約4割の人は、なぜMT車も運転できる普通免許(以下、MT免許)を取得したのでしょうか。
また、免許取得後はMT車を運転しているのか、それともAT車しか運転していないのか。気になるポイントはいくつもあります。そこで、「MT免許」を取得したにも関わらず一般道ではAT車しか運転したことがない一般ユーザーに話を聞いてみました。
まず話を聞いたのは、埼玉県在住の大学生Sさんです。Sさんは、次のように話します。
「MT免許を選んだのは、教習所の受講料を出してくれた父親のすすめからです。『MT車は減っているけど、いざというときにMT車でも運転できるようにしておけ』といわれました。ただ、そういう父親のクルマ(トヨタ『シエンタ』)もATですし、レンタカーもATしか借りたことがないです。
いつかはスポーツカーに乗ってみたいとも思うのですが、日産『GT-R』もATなんですよね。運転スキルはさておき、私も運転をすること自体はできるわけですし」
GT-Rに採用されているのは、正確には「DCT(デュアルクラッチトランスミッション)」ですが、クラッチ操作のいらない2ペダル車という意味では正解です。
このように、「いざというとき」のためにMT免許を取得している人が多いのが現状のようです。自宅や周囲にAT車しかなかったから、というのも、AT車のみの運転になる要因のひとつとなっています。
また、教習所で「MT免許」と「AT免許」では、受ける技能講習のコマ数が違います。公認教習所における技能教習の最低時限数は、MT免許が34時限であるのに対し、AT免許は31時限となっており(学科は共通で26時限)、通う日数が減ることで時短効果が期待できます。また、AT免許の方が料金も少し安くなっているのもポイントだといえます。
クラッチ操作(シフトチェンジ時)で起こりうる「エンスト(エンジンストール)」を心配しなくていいという部分も踏まえ、女性だけでなく男性でもAT免許を選ぶ人が増えていると推測できます。












