さっそく試乗! 3代目に進化した新型ボルボ「S60」の走りはライバルを超えたか

乗り味は徹底的にしなやかな「イマ風」のスポーティさ

 今回試乗したのは、「T5インスプリクション」グレード。ガソリンエンジンモデルの上位車種になります。

筆者の竹岡 圭さんとボルボS60
筆者の竹岡 圭さんとボルボS60

 個人的にはこのナッパレザーシート(ベンチレーション&マッサージ機能付き)が大好きなんです。というのも、私は小柄な方なので、ドライビングポジションを合わせるのが結構大変なんです。こちらはバッチリ合うし、長時間ドライブしても腰も痛くなりません。シートだけウチのリビングに置いておきたいと真剣に思うくらいラクチンなんですよね(笑)。

 そしてドリフトウッド・パネルのインテリアも超ステキ。これがキライという女性はいないんじゃないかと思います。そもそもスカンジナビアンデザインは苦手っていう女性も、会ったことがないですから。

 さて、もう少し運動性能的話をすると、S60はシャシが3つ用意されるのですが、日本仕様は全車ダイナミックシャシで導入されます。ちなみにツーリングシャシは中国向けの仕様、スポーツシャシはR-Designに採用されているんですよね。

 このうち、ダイナミックシャシは、コントロール性と快適性がベストバランスだといわれています。これに18インチタイヤを装着するということで、相当硬い乗り味を想像しました。というのも、V60が結構硬めのテイストだったので、そんな感じをイメージしたんですよね。

 ところが、予想はしっかり裏切られました。最近のスーパーカー業界で流行っている方向の、いわゆる超しなやかテイストだったんです。

 全体の29%でボロンスチールを使用したという剛性感の高いシャシだからこそ成しえた、よく動く足まわり。しかもバネ下の重量が軽いんです。とくにリアサスペンションはマルチリンク形式なんですけど、グラスファイバー複合素材を使ったリーフスプリングを採用しているので、コイルスプリング式と比べて4.5kgも軽い。部品点数も少ないしコンパクトなので、NVH低減やラゲッジスペースの確保にも貢献する優れものなんです。

 さらに今回、動き出しを含む微低速域からダンパーをしっかり動かすことで、路面をきっちり捕えつつ、乗り心地はしなやかに駆け抜けていくという、イマドキのスポーティテイストが完成していました。

 同時に、固有周波数の低減や専用タイヤのチューニングもおこなわれたということで、気になる微振動もきちんと抑えられていました。また、ステアリングの初期応答の向上(ダンパーチューニングとトップマウントの改善)もおこなわれ、ライントレース性も上がりましたし、ちょっとビックリするくらい、かなりいい感じだったんです。

 ただ、わかりやすいスパルタン系スポーティな感じはないので、昔ながらのスポーティな味を期待していた人は、拍子抜けしちゃうかもしれません。でもタイム計測したら、絶対にこちらの方が速いと思いますし、同乗者は間違いなくこちらのしなやかテイストを選ぶでしょう。だって快適ですもん。私にはこの方向は大歓迎でした。

 さらに実際運転してみると、視界もよくサイズ感がなんとなく伝わってくるので、取り回しがラクです、

 ちなみにライバルを挙げるとすると、メルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」、アウディ「A4」あたりになります。それぞれ、バランスの良さ、わかりやすいスポーティさ、クワトロの安定感と熟成感といった感じの3台ですが、S60はこれらドイツ3強と戦えるようになったのですから大したものです。

 安全性能面では、ボルボは世界1、2位をメルセデス・ベンツと争っていますから、全体的なアドバンテージでいったら相当高いと言えます。これまでずっと日本車に乗ってきたという人からも注目されているというのも、うなづける話というか、乗り味やインテリアの雰囲気からしても、初めての輸入車として受け入れやすいかもしれません。

スタイリッシュでカッコいい! ボルボの新型セダン「S60」を画像で見る(50枚)

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Writer: 竹岡 圭

フリーランスのタレント&モータージャーナリストとして活動してきたが、2007年以降は芸能プロダクションに所属、タレントとしてさらなる本格的な活動を始める。現在、TVのワイドショーやバラエティ番組へのレギュラー出演、ラジオ番組のパーソナリティなどを務める。MCやレポーター、コメンテーターの他、イベントでのトークショーもこなすなど、多方面で活動中。雑誌・新聞・Webと幅広く執筆活動もしている。

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