いつの間にか消えていた!? 最近見なくなった自動車技術5選
ハイパワー車の証だったパーツが消滅!?
●ヘッドライトワイパー
雨天時にガラスに付いた雨滴を払うワイパーはクルマにとって重要な機能で、日本ではきちんと機能しないと車検に通りません。
このワイパーが、ヘッドライトにも装着されていたクルマが以前は存在しました。代表的な車種ではボルボやメルセデス・ベンツの多くのモデルに標準装備され、日本でも日産「サファリ」などに装備されていました。
日本では濃霧のなかや降雪時の夜間に、長時間の走行をおこなうドライバーは少数派ですが、ヨーロッパ、とくに北欧では日常のこととなり、ヘッドライトに付着した汚れた雨滴や雪で照度が低下するのは命取りにもなりかねません。
かつては、ヘッドライトの取り付け角度がクルマの進行方向に対して垂直に近かったため、雪が付くことが多かったですが、現在のデザインでは雪が付着しにくくなっています。
また、キセノンランプやLEDヘッドライトを採用するクルマが増え、ヘッドライトの表面温度があまり高くならないこともあり、ヘッドライトウォッシャーを装備するようになりました。
なお、現在、日本国内においてヘッドライトウォッシャーは、2000ルーメン以上の明るさのヘッドライト、および配光可変型前照灯(カーブ通過時などにハンドル操作に合わせて自動的に進行方向へ光を照射するヘッドライト)について、設置が義務付けられています。
国土交通省自動車局によると、その理由は「ヘッドライトの汚れによる乱反射の防止」とのことです。ヘッドライトの種類や形状の変化を経て、ヘッドライトウォッシャーの目的も雪を除去するより光量の低下防止に変化しているようです。
ちなみに、1980年に発売された日産「レパード」には、フェンダーミラーのワイパーが採用されていました。
●マルチスロットルバルブ
エンジンは燃料を含んだ混合気を燃焼室に吸い込み、ピストンの上昇とともに圧縮して、燃焼することでピストンを押し下げ回転力を得ます。
この混合気の吸気量をコントロールする部品が「スロットルバルブ」で、アクセルと連動して、開いたり閉じたりします。
高出力を得るためには適正な空燃比(空気と燃料の配合比率)の混合気を各気筒に送り込む必要がありますが、多くのクルマの場合はスロットルバルブがひとつで、そこからインテークマニホールドを経て、各燃焼室に分配されます。
スロットルバルブがひとつの場合は、各気筒に分配されるまでの距離に差があるため、アクセルを開けてからエンジンの回転数が上がるまでにタイムラグが生じることがあり、一般道ではあまり影響ありませんが、レースなどでは無視できません。
そこで、各気筒にひとつずつスロットルバルブを配置する、マルチスロットルバルブが考え出されました。
マルチスロットルバルブを採用した例は、1989年に発売された日産「スカイラインGT-R」があります。搭載された2.6リッター直列6気筒ツインターボのRB26DETTは、ふたつのバルブを持つスロットルボディを3つ搭載し、シリンダーヘッドの近くに配置することで、レスポンスを高めています。
ほかにもマルチスロットルバルブを採用した例は、ホンダ「ビート」、BMW「M3」、トヨタ「AE101型 カローラレビン」などがあります。
技術的に進歩した現在では、各気筒にスロットルバルブを備えるよりも燃焼室内に高圧で燃料を直接噴射する「筒内噴射」方式が増えたことで、マルチスロットルの採用は減ってしまいました。
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今回紹介したもの以外にも、さまざまな技術が誕生しては衰退してしまいました。
もしかすると数十年後には、画期的な動力源が誕生していて、エンジンやモーターは過去のものになっているかもしれません。
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