いつの間にか消えていた!? 最近見なくなった自動車技術5選

自動車技術は栄枯盛衰があるものです。以前に新技術としてもてはやされた技術でも、普及して目立たなくなったり、消滅してしまうことがあります。そこで、以前は注目された自動車技術を5つピックアップして紹介します。

かつて注目された技術もいまはあまり見られない

 自動車技術は日進月歩で、とくに近年は先進安全装備の進化は目覚ましいものがあります。

ホンダ「プレリュード」のCMで映る4輪操舵の動きが話題に
ホンダ「プレリュード」のCMで映る4輪操舵の動きが話題に

 現在は環境性能や交通事故減少を目的とした安全運転支援技術などが注目を集めていて、ほかにもクルマは日々進化し続けています。

 そこで、これまでに誕生して注目された自動車技術のなかから、いまとなってはほとんど見なくなってしまったものを、5つピックアップして紹介します。

●4輪操舵

能動的な4輪操舵のパイオニアは3代目ホンダ「プレリュード」
能動的な4輪操舵のパイオニアは3代目ホンダ「プレリュード」

 クルマが進む方向を変えるには、前輪を左右に切っておこないますが、これを後輪でもおこなうのが4輪操舵です。

 4輪操舵には2種類あり、前輪と同じ方向に後輪が切れる「同位相」と、前輪とは逆方向に切れる「逆位相」です。

 国産車では1985年に登場したマツダ「サバンナRX-7」に、コーナーリング時の横Gによってブッシュが潰れることで、ステアリング切りはじめは逆位相となりコーナーアプローチ時の鋭い切れ込みを見せ、横Gが高まると同位相になりコーナーリング時の車体を安定させるサスペンションを採用。

 1988年には7代目スカイラインに、後輪を同位相に切ることを電子制御でおこなうことで、コーナーリング時の安定度向上を図る「HICAS(ハイキャス)」を採用し、1989年に登場した8代目スカイラインでは「スーパーHICAS」に進化し、逆位相・同位相に対応しました。

 なかでもユニークな機構だったのが、1987年に発売された3代目ホンダ「プレリュード」に搭載された4輪操舵で、前輪の切れ角に応じて後輪の向きが変わり、前輪の切れ角が小さいと同位相、切れ角が大きくなると逆位相になるというものでした。

 プレリュードの機構は電子制御ではなく、4輪操舵をすべて機械的におこなっており、フロントからリアまで4輪操舵用のシャフトが伸びていました。

 その後、車両重量の増加や高い製造コストなどから、4輪操舵は消滅したかのように見えましたが、低速での小回りと高速コーナーリング時の安定性を両立させるための機能として、ここ数年で「リア・アクティブ・ステア」や「リア・アクティブ・トーコントロール」と呼ばれ、復活しつつあります。

●可変ステアリングレシオ

VGSを採用したホンダ「S2000」は「Dシェイプ」のハンドルを装備
VGSを採用したホンダ「S2000」は「Dシェイプ」のハンドルを装備

 ハンドルを左右に切ると、それに連動して前輪が左右に動きますが、ハンドルの切れ角と前輪の切れ角は一定の角度で連動しているのが普通です。

 一方で、ハンドルの切れ角が小さいと前輪はスローに切れていき、切り足していくとクイックに切れ込んでいく「可変ステアリングギアレシオ」という機構があります。

 そして、ホンダが2000年に「S2000」に採用した世界初のステアリング機構「VGS(バリアブル・ギアレシオ・ステアリング)」は一歩進んでいて、車速によってステアリングギアレシオを変えることができました。

 低中速域では小さい舵角で大きく前輪が切れるようクイックにし、高速域ではスローに前輪を操舵させることで、安定した走りに寄与する機構です。

 VGSは、モーターを用いてラックアンドピニオン部を制御することで、ステアリングギアレシオを変えることを可能にする画期的な技術でしたが、ホンダはS2000以外には採用しませんでした。

 現在ではトヨタが「VGRS」、BMWが「アクティブステアリング」という名称で、VGSと同様な制御をおこなっているほか、日産はスカイラインで、前輪の操舵を電子制御する「ステアリング・バイ・ワイヤ」を採用していますが、普及が進んでいるとはいえない状況です。

●トロイダルCVT

莫大な開発費をかけたものの残念な結果になった日産「エクストロイドCVT」
莫大な開発費をかけたものの残念な結果になった日産「エクストロイドCVT」

 現在、国産乗用車のトランスミッションの多くはATを採用していますが、ATは4速から8速などの有段変速機を持つものと、ギアなどの機構を使わずに変速するCVTに大別されます。

 CVTはベルトとプーリーを用いて変速比を連続的に変え、エンジンが効率良く出力を発生させられる回転数を保ちながら運転でき、省燃費化はもちろん変速ショックがないスムースな運転が可能となりました。

 さらに、CVTは部品点数が少なく小型化できたことから、登場初期は小型車や軽自動車を中心に採用が相次ぎました。

 しかし、CVTはベルトとプーリーの摩擦によって動力を伝達する機構のため、大トルク・大排気量のクルマではスリップが生じて伝達効率が極端に下がるという問題がありました。

 そこで、日産はベルトとプーリーを使わないCVTである「トロイダルCVT」を開発。仕組みは、入力ディスクと出力ディスクのふたつのディスクに挟まれたローラーの傾き角度を変えることで変速をおこなうというものです。

 トロイダルCVTは大トルク・大排気量のクルマに対応でき、1999年に発売された10代目日産「セドリック/グロリア」に「エクスロイドCVT」の名で世界初採用し、2002年には11代目「スカイライン」にも採用されました。

 しかし、その後ベルト式CVTの改良により大トルク・大排気量のクルマに対応でき、3.5リッタークラスのエンジンまでベルト式CVTが採用されるようになります。

 その結果、トロイダルCVTを採用するクルマは無くなってしまい、日産も後継車種には採用しませんでした。

 トロイダルCVTの開発はサプライヤーによって続けられ、小型化に成功していますが、現在、クルマに採用している事例はありません。

【画像】後輪が左右に動く! 4輪操舵は見た目も斬新!(20枚)

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