数億円のスーパーカーは社用車にできる? 微妙な境界線を税理士に聞いてみた

過去にはフェラーリが社用車として認められた事例も

 スーパーカーの経費計上について、過去には裁判まで発展した例があります。1995年、国税不服審判所にて、高級輸入車やクルーザーが会社の減価償却資産となるかどうかが争われました。

スーパーカーは誰しも憧れる存在
スーパーカーは誰しも憧れる存在

 税務署側の主張は「クルーザーについては、代表者の個人的趣味に基づき取得したものと認められるため、代表者の個人資産である」「フェラーリについては、事業用に用いられた実績が明らかでないため、事業用資産であると認められない。さらに、フェラーリは嗜好性の高いクルマであることから、請求人の事業内容又は一般社会常識から判断して、個人的趣味の範囲内であるため、代表者の個人資産である」というものでした。

 これに対し、国税不服審判所は次のような判決を出しました。

「クルーザーは運航した実績が記録されておらず、どのような目的で乗船させ運航したかの説明が無く、請求人が実際に事業に用いたのかを確認することができないため認められない。また、福利厚生の一環としていたものの、同じく使用実績などが記録しておらず認められない」

 一方フェラーリについては、「車検記録や出張履歴などから、過去の使用実績が認められる。また、代表者に対する旅費及び通勤手当の支給状況を見ると、交通費及び通勤手当を支給していない。

 そのため、車両を事業の用に使用したものと推認することが可能。さらに、代表者がベントレーやロールス・ロイスといった外国製の車両を3台個人的に所有しており、減価償却資産としていないことを併せ考えると、車両をA社の資産としていることを不相当とする理由は認められない」として、経費計上を認めました。

 ここでもポイントとなったのは事業上の必要性および事業に使用したかどうかでした。

※ ※ ※

 いつの時代も憧れの的のスーパーカーですが、その多くが法人名義の購入といわれます。クルマについては「出勤途中に子どもを学校まで送った」というケースなどみてもわかるように、業務利用とプライベートでの使用が曖昧になりやすく、税務署側の判断に左右される部分も少なくありません。

 一方で、職業が多様化した現代において、YouTuberのように、自身のコンテンツとするために高級車を購入するといったケースもあり、経費計上の妥当性についてもさまざまなな角度から検討されるようになりました。

 ひと昔前までは、「フェラーリはNG、BMWはOK」ということは一概にはいえなくなってきているようです。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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