スバルの名機「EJ20」が30年の歴史に終止符! 現行ラインナップで「WRX STI」だけが搭載し続けた理由
次期WRX STIのエンジンは「EJ20型ターボ」の進化版か!?
しかしEJ20型も、さすがに設計が古くなりました。排出ガス規制の対応ができず、EJ20型と併せてWRX STIも廃止することになりました。
気になるのは今後の展開でしょう。現行型のWRX STIは、前述のように2019年12月末に終了します。
そこでEJ20型ターボの集大成モデルとして、特別仕様車の「WRX STI EJ20ファイナルエディション」を限定555台で発売します。
内容は凝っていて、EJ20バランスドエンジンを搭載します。クラシックな雰囲気を感じさせるBBS鍛造19インチホイール、6ポットシルバーキャリパーなども装着します。
この特別仕様車も含めて完売すると、WRX STIはラインナップからはずれて、WRX S4のみを扱うことになります。そうなるとBRZとOEM車を除き、スバル車からは6速MTも消滅します。
そしてWRXは、2020年にフルモデルチェンジをおこなう予定です。プラットフォームは現行「インプレッサ」から採用が開始された新しいタイプで、次期「レヴォーグ」と共通性が多いですが、エンジンは異なります。
次期WRX STIは、独自のチューニングが施されたFA20型ターボを搭載するからです。現行WRX S4のFA20型ターボとは設定が違います。
このFA20型ターボは、EJ20型ターボの進化版と考えれば良いでしょう。モータースポーツで使われることを視野に入れ、チューニングのベースになり得るポテンシャルを持たせます。
現行型のWRX STIと同じく、ピストンやエンジンマウントの強化、大型インタークーラーの装着などをおこなう可能性も高いです。トランスミッションは、現行型のWRX STIと同様、6速MTになると思われます。
なお次期WRX S4は、新型レヴォーグにも採用される予定の新開発の1.8リッターターボを搭載する可能性が高いです。
次期WRXのボディスタイルは、視界を損なわない範囲で、鋭角的なデザインに進化します。従来型と同様、ミドルサイズの4ドアセダンなので、WRXの雰囲気が大きく変わることはないでしょう。進化というよりも「深化」を大切にするフルモデルチェンジをおこないます。
EJ20型が廃止されてFA20型になっても、スバルのクルマづくりは継承され続けます。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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