新型「ホンダe」はなぜ後輪駆動を採用? ホンダ初の市販EVでこだわった点とは

将来はオープン化も!? ホンダeの将来像とは

ーー価格はスターティングプライスが約350万円と発表されました。コンパクトモデルにしては高めの設定だと思いますが。

「価格が高いのは電動化の部分ではなく、『わかりやすい未来感』や『質感』に(コストを)使っているからです。今後MaaSの時代もやってきますが、まずは個人所有で魅力あるクルマにすることが重要だと考えています」

ーーでは、魅力あるクルマにするために、どのようなトライをしていますか。

「まずは『デザイン』。不細工なクルマは選びませんよね。次にメーターやシートなど、ヒエラルキーではなく次世代のクルマを感じさせる『インテリア』。ホンダのクルマに期待される『ダイナミクス』。そしてIoTやエネルギーの連携といったクルマだけじゃないときの価値である『コネクテッド』と幅広いです」

ホンダe(プロトタイプ)
ホンダe(プロトタイプ)

--0-100km/h加速は約8秒と発表。NSX並みの500mmという低重心な上に、前後重量配分は50:50、前後オーバーハングの短いパッケージング、さらにタイヤはEVでは珍しいミシュラン・パイロットスポーツ4を驕るなど、運動性能もかなり期待できそうですね。

「重心が低いと柔らかいバネを使ってもロールが少ないので、運動性能と快適性能のバランスは高いです。ただ、アイポイントは高いので不思議な感覚ですね。

 基本素性がいいのでスポーツ方向も考えましたが、今回はクルマのキャラクターに合わせて質感方向に振っています。0-100km/h加速は約8秒ですが、80km/hまではかなり速いですよ」

--EVは発生する音が小さいので、内燃機関を搭載するクルマよりも静粛性に気を使う必要があります。

「EVは単純な数値だけの話ではなく、音に対する感覚のランクが違いますね。ホンダeは、音の発生源が後ろにあるのでキャビンは静かですが、さらに厚いガラスの採用による遮音や、電子ミラー採用による風切音低減なども静粛性アップに寄与しています」

--また、最小回転半径4.3mと、取り回し性能が優秀なのもホンダeの特徴のひとつですね。

「ステアリングは45度切れるので、VGS(バリアブル・ギアレシオ・ステアリング:車速と舵角に応じてステアリングギア比を無段階に変化させる機構)も採用しています」

--今後、モデルバリエーションの追加などは計画されているのでしょうか。例えばフロントにモーターを搭載して電動AWDなどの可能性もありますか。

「やるかやらないかは別として、頭の中には色々ありますよ。ちなみにホイールベースはフィットと一緒ですが、これも『何が来てもいいように』の考えのひとつです」

--ホンダeは、ハッチバックでは珍しいサッシュレスドアを採用していますが、これはどのような理由があるのでしょうか。

「いい所に気が付きましたね。ちなみにルーフは1枚モノのガラスで、下にメンバーなどは通っていません。となると、色々なアイデアが生まれると思いませんか」

※ ※ ※

 つまり、オープンモデルはそれほど難しくない、ということのようです。また、将来的にソーラーバッテリーの性能がアップしたら置き換えもできるかもしれません。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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