登場するのが早すぎた? メーカーのこだわりが詰まった力作ぞろいの絶版軽5選
2019年のいま見ると、斬新なコンセプトだったことがわかる
●ホンダ「Z」
ホンダ「Z」は、1998年9月に登場したホンダのSUVタイプの4WD軽自動車です。1970年に登場した初代「Z」の名前を復活させたところに、このモデルに対するホンダの気合いが見て取れます。
「スモール イズ スマート」という考えをもとに新しい価値を創造する、ホンダの「Kムーバー」シリーズのひとつとして登場しました。
Zの特徴は、革新のプラットフォーム「UM-4」を採用したことです。UM-4とは「Underfloor Midship 4WD」の略で、後席の床下にエンジンを配置したアンダーミッドシップレイアウトでした。
これにより、理想的な前後重量配分50:50を実現。素直なハンドリング性能と軽快なハンドリングを発揮しました。
また、通常は後輪駆動で走行し、路面状況に応じて前輪にもトルクを伝達するビスカスカップリング方式のリアルタイム4WDを全モデルに設定しています。
エンジンを床下に配置したことで、室内は小型車なみの居住空間を確保。さらに世界最高水準の衝突安全性も実現していました。
発売当時の車両価格は、114万8000円(自然吸気エンジン)から128万8000円(ターボエンジン)。ターボモデルにはオプションで「リア・ヘリカルLSD」(4万円)も設定されていました。
3ドアのみの設定だったことも影響し、販売は芳しくありませんでした。2002年には生産が終了しています。
●スズキ「ツイン」
スズキ「ツイン」は、2003年1月に登場した2シーターモデルです。
ツインの特徴は、市販軽四輪車で初めてハイブリッドシステム搭載車を設定したことです。このハイブリッドはエンジンとトランスミッションの間に薄型のモーターを配置。リアシート後方には鉛電池を搭載したシンプルなシステムで、アイドリングストップ機能も搭載していました。10・15モード燃費で34km/Lを実現していました。
当時としては国産軽四輪車最小サイズの全長2735mmとされたボディは、最小回転半径3.6mを実現。当時はすでに認知度も上がっていたフォーツーのようなシティコミューターでした。
ハイブリッド車だけでなく、ガソリンエンジン搭載車も用意。エアコンレスモデルながら、5速MTモデルの車両価格は49万円(消費税抜、以下同)と、衝撃的な価格設定でした。ちなみにエアコンやパワーステアリングなどが装備された3速ATガソリンモデルは84万円、ハイブリッドモデルは129万円から139万円と、リーズナブルな設定となっていました。
2シーターのシティコミューターというコンセプトが災いして販売は低迷、ガソリン車/ハイブリッド車ともに2005年には生産が終了されました。
●ダイハツ「ミゼットII」
ダイハツ「ミゼットII」は、1996年に登場した軽商用車です。
ミゼットIIは「我が街のミニマム・トランスポーター」をコンセプトに、当時の軽自動車規格よりも全長で約50cm、全幅で約10cm小さい全長2790mm×全幅1335mm×全高1705mmと、当時としては軽自動車最小のモデルでした。
その名前が表すとおり、ミゼットIIは1957年に発売された初代「ミゼット」のコンセプトを踏襲したモデルです。初代ミゼットは3輪でしたが、ミゼットIIは安全性を考慮して4輪のトラックタイプとなっています。
発売当時は1人乗り/4速MT仕様のみの設定で、価格は46万9000円(消費税抜、以下同)から59万9000円と、当時「日本一安い価格帯に設定」していました。
1997年には3速ATモデルも登場、こちらはベンチシートを採用して2人乗りを実現しました(1人乗りの8万5000円高)。さらにこのタイミングで荷台部をスチール製とした「ミゼットIIカーゴ」も登場しています。
メカニズムとしてはそれほど特記することのないモデルですが、小口配達用の商用車というコンセプトは発売当時も斬新で、愛らしい内外装のデザインもあり、新車販売が終了したいまも、現役で活躍するモデルです。
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それほどヒットしなかったモデルでも、いざ販売が終了してしまうと、逆にそのメカニズムやコンセプトなどに共感してしまうような、崇高な「志」の詰まったモデルというのが、軽自動車だけでなく登録車にも存在しています。
人気がなかったモデルというのは、当然ですがヒットしたモデルよりも中古車市場で台数が少ないため、なかなか価格と程度のバランスが良い個体を見つけることができません。ですが逆にいえば、そうした中古車を探しあてる喜びもありますし、不人気車ということで思いのほかリーズナブルに買えることもあります。
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