夏みかん色のガードレール? 白色以外のガードレールが存在する理由とは

さまざまな場所に設置されているガードレール。人とクルマの接触を防ぐほか、山道ではクルマの転落を防止する効果もあります。一般的には、白色のイメージが強いガードレールですが、地域によってはさまざまな色や形のものが存在するといいます。なぜ、地域によって異なるのでしょうか。

 普段、クルマを運転しているとあまり気にかけることのない「ガードレール」。一般的には、白色のものをイメージしますが、全国にはさまざまな色や形のガードレールが存在します。

 なぜ、色々な種類が存在するのでしょうか。

山口県では、特産の夏ミカンにちなんだ黄色いガードレールが採用されている
山口県では、特産の夏ミカンにちなんだ黄色いガードレールが採用されている

 ガードレールとは、車両の道路上逸脱の防止などを目的として設置される「防護柵」の一種で、凹凸のある白い鉄板のものが一般的です。凹凸がある形状の理由としては、平坦と比べ凹凸をつけた方が約150倍ほど強度が上がるためとされています。

 また、防護柵には、パイプがいくつか連なった形状の「ガードパイプ」、ワイヤーが張られている「ガードケーブル」なども存在。ガードパイプやガードケーブルは、展望性が高いため景観を損ねないという利点があるほか、雪の降る地域では除雪作業が容易になります。

 日常では存在感を消しつつも、事故時などでは存在感を発揮するガードレールですが、白のほかにも灰色や銀色、茶色などさまざまな色が存在し、一部地域では木製のガードレールや、山口県にはオレンジ色のガードレールが存在するようです。

 木製ガードレールは、景観を守る目的のほかに「間伐材(かんばつざい)」の有効的な利用方法としても注目されています。

 間伐材とは、森林が成長するなかで、茂りすぎないよう立ち木を間引く「間伐」の際に生じた木材のことです。安全面に関しては、車両用防護柵としての基準をクリアしており、車両の衝突時には衝撃を吸収・分散できる構造となっています。

 安全性が高くエコでありながら見た目も良い、一見すると才色兼備な木製ガードレールですが、全国的な普及には課題が多いようです。

 財団法人土木研究センターの「我が国における木製車両用防護柵の開発状況」によると、「耐久性や維持管理等で未だ不明な点も多い」とあり、主に長期的な使用において課題があるようです。広い地域で採用されるには、まだ時間がかかりそうです。

 また、山口県ではオレンジ色、正式には「夏みかん色」のガードレールを採用しています。なぜ、白色ではないガードレールを採用しているのでしょうか。

 山口県土木建築部道路整備課の古屋憲二氏は、次のように話します。

「1963年の山口国体開催にあたって、山口県で何か特色のあるものを作ろうと考えるなかで、県道のガードレールを県特産の『夏みかん』の黄色にしようという発想が生まれました」

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