日産「GT-R」はなぜ毎年進化する? 日本が誇るGT-Rの次期型のあるべき姿とは

最新GT-R、そして未来の次期型のGT-Rはどうなる?

 そんなGT-Rの進化をふたつの数字で確認しておきましょう。

 ひとつはエンジンパワー。2007年のデビュー時に480馬力だったエンジン出力は翌年に485馬力へパワーアップしたのをはじめ、2011年モデルでは530馬力、そして2017年モデル以降は570馬力へ上がり、GT-R NISMOは、デビュー以来600馬力を誇ります。

 もうひとつは、スポーツカーの速さの象徴といえるドイツの「ニュルブルクリンク」と呼ばれるサーキットのラップタイムです。

 デビューモデルは2008年4月に7分29秒3という当時の量産市販車最速ラップを記録しています。翌年4月にはオプション設定のダンロップ製タイヤとレイズ製ホイールを装着した仕様が7分27秒56を記録。2011年モデルは、一部がウェット路面での計測で7分24秒22を樹立しました。

 その後、2013年9月にはGT-R NISMOにオプション設定の「N Attack Package」を装着した仕様で7分8秒679を記録。これがGT-Rの現時点での最速記録です。

2020年モデルをベースとした50周年記念仕様車
2020年モデルをベースとした50周年記念仕様車

 仕様が異なるとはいえ、進化により初期モデルから20秒以上も短縮しているのですから驚かずにはいられません。

 2013年9月の記録は、量産市販車としては当時の最速記録であり、改良を重ね続けることで世界トップレベルの限界走行性能を保ち続けていることがわかります。

 そして、気になるのは次期GT-Rの存在です。次世代のGT-Rの開発は進んでいるのでしょうか。

 現時点では、次期モデルの具体的な姿は見えてきません。しかし、規制の強化など高性能車を取り巻く昨今の状況からいえば、燃費向上や走行騒音軽減のためにハイブリッド化は避けられないでしょう。

 すると市場の要求としては「ハイブリッド化して従来と同じパフォーマンス」では許されず、「モーターを積んだ分だけさらに速く」となるはずです。

 ところがハイブリッドを高性能化するには大容量バッテリーの搭載が避けられず、ハイパフォーマンスカーにとっては、バッテリーの重量増が課題となるのは間違いありません。

 そこにどう折り合いをつけるのかが、次期GT-Rの悩みどころとなりそうです。

 いずれにせよ、GT-Rは日産だけにとどまらず日本の超高性能車における象徴的な存在。その火を絶やさないでほしいと願わずにはいられません。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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