なぜ高級セダンはベンツやBMWばかり人気? 国産セダンが敵わない理由とは
2019年上半期の国内高級セダン市場を見ると、国産モデルは人気車と不人気車で二分されている一方、輸入セダンの主要車種はおおむね人気車種となっています。なぜ、高級セダン市場では輸入車の方が売れ行きが良いのでしょうか。
ブランドイメージ以外にも訳がある? 輸入セダンが国産セダンより人気な理由
2019年上半期(1月から6月)の販売統計を見ると、上級セダン(セダンをベースにしたワゴンを含む)で販売好調となっているのは輸入車です。上半期の登録台数を1か月平均に換算すると、メルセデス・ベンツ「Cクラス」が1876台、BMW「3シリーズ」は746台、メルセデス・ベンツ「Eクラス」は677台でした。
一方、日本の上級セダンのなかには、トヨタ「クラウン」などの人気モデルもあるものの、なかには売れ行きが不振となっているクルマも存在します。なぜ、輸入セダンの主要モデルは安定した売れ行きとなっているのでしょうか。

前述したクラウンは、日本の上級セダンでもっとも多く販売されており、1か月平均の登録台数は3642台です。
次いでトヨタ「カムリ」が1954台、レクサス「ES」は1137台、そして2019年に生産を終える「マークX」は大幅に減って379台、日産「スカイライン」はマイナーチェンジ直前とはいえ145台でした。
レクサスのES以外のセダンである「IS」「GS」「LS」や、日産「フーガ」、マツダ「マツダ6(旧アテンザ)」などの売れ行きは、さらに低いです。
メルセデス・ベンツのCクラスとEクラス、そしてBMW3シリーズなどのセダンが堅調に売れる理由は、まず各ブランドを代表する商品であるからです。
日本のメーカーは昔から商品ラインナップが幅広く、特定の車種にイメージが集中することはありません。従って「トヨタを買う」とは表現されず「クラウンを買う」「プリウスを選ぶ」といいます。
一方、欧州メーカーはいまでこそSUVモデルを増やしましたが、以前はセダンが中心でした。
SUVを急増させる2000年以前のメルセデス・ベンツのラインナップは、Cクラス、Eクラス、「Sクラス」と、スポーツカーの「SL」、オフロードSUVの「ゲレンデヴァーゲン(いまのGクラス)」程度でした。BMWも同様です。
このセダン中心の時代が長く続いたので、メルセデス・ベンツやBMWのブランドイメージは、いまでもセダンが支えていて、売れ行きも堅調です。
そしていまでも「ベンツを買う」「BMWを選ぶ」という表現が聞かれます。車種ではなくブランドで選ばれ、その象徴がセダンなのです。
もちろん商品力も影響しています。以前の欧州車の特徴は、優れた走行安定性と乗り心地、長距離移動でも疲れにくいシートに集約されましたが、いまは衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備も先進的です。
車間距離を自動調節しながら追従走行して、ペダル操作を軽減させる運転支援機能も、幅広い車種に採用されています。
しかもドイツ車の場合、高速道路の走行車線上で右側に方向指示機を作動させると、運転支援機能が緩やかに加速する制御もおこないます。
走行車線から、速度の高い追い越し車線に移動するときは、加速するのが安全運転の基本になるため、運転支援機能の作動中は自動的に速度を高めるのです。
欧州車のエンジンは、いまでは大半がターボを装着して、十分な動力性能を確保しながら燃料消費量を抑えます。セダンやワゴンでクリーンディーゼルターボを選べることも欧州車の魅力です。



























































