人気でも止まぬ「軽廃止論」のワケは!? ダイハツが高齢者向け商品の開発を急ぐ理由

ダイハツ新型「タント」をはじめ、近年の軽自動車は高齢者も含めた幅広いユーザーのり弁性が考慮されたモデルが数多くあります。そんななか、ユーザーメリットの多い軽自動車という独自規格に逆風が吹いているというのですが、その理由とはなんでしょうか。

「高齢者向け」!? 新型タントの開発で拘られたポイントとは

 2019年7月末に千葉県でおこなわれた、第四世代となるダイハツ新型「タント」のメディア向け試乗会で公開された資料を見て、とても驚きました。その資料は、歴代タントの所有年齢層の変化を円グラフで示したデモグラフィック(人口統計学的な属性)です。

 このデータからは、新型タントの方向性を決めたともいえるある事実が分かるのですが、それはなんでしょうか。

2019年7月に発売されたダイハツ新型「タント」
2019年7月に発売されたダイハツ新型「タント」

 公開されたデータを詳しく見ると、軽自動車に「スーパーハイト系」という新分野を開拓した初代タント(2003年11月発売)では、子育て層が半数以上で、残りはシニア層と若年層でほぼ同数です。

 つづく、第二世代(2007年12月発売)では、シニア層が若干伸びて、子育て層は全体のほぼ半分となりました。

 そして驚きなのは、第三世代(2013年10月発売)です。このモデルでは、シニア層が半数近くまで一気に伸びました。この円グラフを鵜呑みにすれば、タントは高齢ドライバー向けのクルマという印象を持ってしまいます。

 プレゼンテーションの後、確認のため、新型タントのチーフエンジニアを務めた、ダイハツ工業 製品企画部の田代正俊氏に「円グラフでのシニア層とは、一般的な高齢者を指す65歳以上なのですか」と聞いてみました。

 すると田代市は「いいえ、子育てを終わった50代以上という設定です。子育て中の50代は含んでいません」という説明でした。

 本来なら、そうしたダイハツ独自の分類の定義を資料に明記するべきだと感じましたが、なにはともあれ、今回の資料のインパクトは極めて大きいものです。
 
 また、プレゼンテーションの後半に動画を使って詳しい説明があった「産学共同研究の取り組み」を聞くと、これからの社会における軽自動車の重要性のヒントが得られたと感じました。

 研究の目的は、ダイハツとして「高齢者が活き活きと暮らせる社会の実現」を目指すもの。標準車と福祉車両との中間領域で、高齢者が乗降しやすく、使い勝手の良い車内環境を作ろうというものです。

 具体的には、前席の後部に設置する「ラクスマグリップ」など、乗降時に使う各種グリップが開発されました。また、助手席側のリアスライドドアを連動して電動可動するステップも用意されています。

 こうした乗降補助機器は、福祉車両向けのみならず、標準車でもオプションとして装備することが可能です。このほか、福祉車両については、車椅子用のスロープの出し入れでリアバンパーを専用設計としています。

 各種グリップも含めて、こうした福祉関連用品については、新車開発後に特装車という後付け的な領域で開発してきました。それを新型タントでは、新車開発初期から各種グリップや福祉車両の製品企画を同時進行で行ったということです。

 ただし、新型タントはけっして高齢者向けのクルマではありません。若者から高齢者まで幅広い年齢層にとって、皆の日常生活が豊かになるためのアイテムです。

 厚生労働省が発表している日本の人口分布予測、または警察庁による運転免許関連の資料を見る限り、日本では近年中に高齢ドライバーが一気に増えることは間違いありません。 

 こうした時代の変化のなか、タントが高齢者にやさしいクルマになることは当然だといえます。

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1件のコメント

  1. 軽自動車こそ、世界に誇れる日本車と思う。昔の360ccに比べても今の660ccは格段に広いし、パワーも燃費も乗り心地も最高な車だと思います。軽トラだって世界で活躍出来ると思うよ。小さな車の規制の中でこれだけのバリエーションを充実させた技術力、発想力は大したもんでしょう!

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