なぜ教習車にもこだわる? マツダが新型投入してまで教習車を作り続ける理由とは
新旧乗り比べでわかった、新型マツダ教習車のこだわり
今回は、実際に新型マツダ教習車を運転したり、助手席に座り指導員としての居心地を試したりすることができました。また、従来型マツダ教習車も試すことができたので、まずは従来型の運転席に座り“教習生”として運転しました。
従来型のマツダ教習車に乗り込むと、車内は3代目アクセラそのもの。ルームミラーが上下2段重ねになっているのは、助手席の指導員も後方確認をおこなうためです。
窮屈そうに2段重ねとなっているため、下段の教習生用ルームミラー鏡面上部には上段の指導員用ミラーが映り込み、やや後方確認がしづらい印象を受けました。左右のドアミラー上部には指導員確認用のアウターミラーが装着されています。
エンジンを始動してシフトレバーをDレンジへ、そして安全確認とウインカー操作をおこなってスタート地点からクローズドコースへ向けて走り出します。
最初に差し掛かったのは屈折コースです。教習/検定コースと同じ道幅3.5mの狭い道路を模した特設コースを、左右に切り返して通過します。
従来型の最小回転半径は5.3mなので、ボディサイズからすれば取り回しは決して悪くないのですが、狭いコースをいっぱいに使って走ることから、運転に不慣れな教習生はかなり気をつかうのではないかと感じました。
その後、コース途中で縦列駐車や車庫入れをこなします。見切りが良いことに加えて後方の死角が少なく、クルマの位置把握が容易なので、ここはすんなりおこなえました。
直線路では、30km/hを上限に加減速を繰り返します。従来型も3代目アクセラのボディを使い、オルガン式のアクセルペダルやそれに合わせたブレーキペダル、グリップの太さを最適化したステアリングにいたるまで、いわゆるマツダが第6世代と名乗る最新部品を使っていますが、走行性能を左右するエンジンとトランスミッションは旧世代の部品を流用しています。
そのため、アクセルペダルやブレーキペダルをちょっと踏み込んだだけでクルマが過剰に反応してしまう場面があり、とくに微速から20km/h程度までの速度コントロールが難しく感じました。
続いて、指導員として助手席に乗り込み、足もとに設けられた左右のフットレストや中央に配置されたサブブレーキを試します。
サブブレーキは、運転席の教習生が操作する通常のブレーキシステムにリンク(つなぎ部品)を介して結合する構造で、踏み始めから15%くらいまでは単にリンクを動かしているようでブレーキ力が思うように得られません。15%程度踏み込んだ位置から少しだけ踏み込むと、今度はガツンとブレーキが作動します。
従来型を運転した後に、次は新型マツダ教習車で同じコースを走行します。まずは教習生として運転席に乗り込みましたが、新型マツダ教習車では、上下2段式のルームミラーの配置や形状が変更され、映り込みがなくなって後方確認がしやすくなっているのがわかりました。
屈折コースは、ボディが小さくなったことで圧倒的に走行しやすく、同じく縦列駐車、車庫入れも運転がうまくなったかのようにスッと迷いなくおこなえました。
走行性能は、エンジンやトランスミッションが第6世代の部品になったことで、現行のマツダ車と同じくゆっくり歩くような速度コントロールが容易に行えました。
指導員として助手席に座って驚いたことは、サブブレーキが格段に使いやすくなったことです。リンク形状の改善によって、踏み始めからブレーキをじんわり効かせやすくなりました。
さらに、従来型では平行状態だった右側フットレストとブレーキペダルの位置を、新型ではフットレストにのせる右足の拇指点(親指の付け根部分)の高さで6度の角度が付くよう右側へ傾け、同時にブレーキペダルの左下端と右側フットレストの左下端の位置関係が45度の角度になるよう設計変更を受けています。
これにより、長時間の乗車時でも指導員は右足の踵を離すことなく、すんなりブレーキペダルへと移行できるようになりました。
また、左フットレスト上部に取り付けられた発煙筒と指導員の足が触れてしまい乗降性が悪かった従来型の弱点を見直し、新型では発煙筒位置を上部へと移動させ乗降性を向上させるなど、指導員が車内で快適に過ごせるような改良が施されています。
※ ※ ※
新型マツダ教習車での教習は、自分の操作をそのまま反映してくれる手足の拡張のような感覚が得られることから、運転技術の早期向上に役立つと実感できました。
一方で、これはマツダが人間中心のクルマ設計を第一におこなっているからこそ、はじめてクルマに触れる教習生でも体感できる大きなメリットです。
運転免許証を取得後、最初に乗るクルマがどんな車種になるかによって運転のしやすさ、むずかしさなど感じ方が変わってくるのだな、との印象を持ちました。
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