知っている人は相当のマニア!? 珍しい商用車5選
商用車というと使い勝手がよいことや、耐久性、経済性が高いことが条件のため、見た目や動力性能についてはあまり考慮されていない印象があります。しかし、なかにはユニークな商用車もあるので、5車種ピックアップして紹介します。
商用車とは思えないユニークなモデルたち
最近の国内自動車市場では、商用車は特定のメーカーが生産して、他メーカーにOEM供給することが普通です。
新規開発には莫大な投資をすることになるため、OEMは合理的なビジネスですが、メーカー間の個性は出しづらくなっています。
しかし、かつては個性的な商用車も数多く存在しました。
そこで、これまで販売された国内外の商用車のなかから、新旧の珍しい商用車5車種をピックアップして紹介します。
●ホンダ「L700」
ホンダはオートバイやF1で培った技術を投入し、600ccながら57馬力を発揮する直列4気筒DOHCエンジンを搭載したFRの2シーターオープンスポーツカー「S600」を1964年に発売しました。
翌1965年には「高速時代のライトバン」として、S600のエンジンをベースに排気量を700ccへ拡大し、低回転時のトルク不足を補ったエンジンを搭載した、ライトバン型の小型商用車「L700」を発売しました。
一般家庭における乗用車の本格的な普及が始まる前、乗用車のように大人4人が乗車できて荷物も載せられる「貨客兼用」であるライトバンは、個人商店を営む家庭に重宝され、各自動車メーカーが販売していました。
L700は商用車向けに52馬力までデチューンされていたとはいえ、DOHCエンジンを搭載し、日本車初のストラット式サスペンションをフロントに採用するなど、ライトバンにも高度な技術を投入するあたりは、当時からホンダらしさにあふれるクルマでした。
L700のシャシはモノコックではなくフレーム構造で、テールゲートを備えた3ドアボディとなっていて、兄弟車としてピックアップトラックの「P700」も発売されました。
しかしスポーツカーのような高回転型のDOHCエンジンは、商用車としては決して扱いやすいものではなく、丈夫でメンテナンスが楽、耐久性が求められる商用車に適しておらず、販売数は極めて少ないものでした。
1966年には「S800」のエンジンをベースにして、さらに低速トルクを補った「L800」と「P800」も発売しましたが、2年後には生産を終了。現存数も少なく、大変な希少車となっています。
●マツダ「ロータリーピックアップ」
マツダがロータリーエンジン搭載車のフルラインナップ化を推進していた1974年、2人乗りピックアップトラック「プロシード」をベースに、2ローター1.3リッターの13B型ロータリーエンジンを搭載し、高性能さをアピールした「ロータリーピックアップ」を北米市場専用モデルとして発売しました。
この世界で唯一のロータリーエンジン搭載ピックアップトラックは、ボディ形状こそ角張ったラインで構成された一般的なボンネットトラックでしたが、フェンダーは左右に拡大され、フロントにはディスクブレーキが採用されるなど、スポーティな装備となっていました。
またレシプロエンジン搭載車のテールランプが角型であったのに対し、ロータリーピックアップは丸型を採用。
これは、同一のボディながら、レシプロエンジン搭載の「グランドファミリア」のテールランプが角型で、ロータリーエンジン搭載の「サバンナ」が丸型だったことと同様のイメージ戦略と思われます。
ロータリーピックアップは「REPU」(ロータリー・エンジン・ピック・アップの略)と呼ばれ、いまでは世界的にも貴重なクラシック・ロータリーエンジン車であることや、約1万6千台しか生産されなかったこともあり、現在でもロータリーマニアに人気があるクルマです。
●フォルクスワーゲン「キャディ」
1980年に登場したフォルクスワーゲン「キャディ」は、初代「ゴルフ」のフロントからドアまでのボディを流用して、ボディ後部を荷台にしたピックアップトラックです。
スタイルはゴルフに準じたスタイリッシュなもので、ピックアップトラックを好む若者が多い北米市場で人気となり、「ラビット ピックアップ」の名で販売されていました。
2代目キャディでは3代目「ポロ」をベースとして1995年に発売されましたが、欧州でルノー「エクスプレス」が人気だったため、大容量カーゴルームを持つフルゴネット(乗用車のキャビンに大きな荷室を組み合わせたボンネットバン)タイプも用意され、ピックアップトラックよりも販売数を伸ばしていきました。
2004年にモデルチェンジされた3代目キャディはボディを大型化し、欧州の物流で使われる「ユーロパレット(1200mm×800mmサイズのフォークリフトで運ぶために必要な木枠)」を、そのまま積載できる荷室を最大のセールスポイントとしました。
また2010年のマイナーチェンジでは、フロントマスクを後期型「トゥーラン」と同じデザインとするなど、大幅なフェイスリフトがおこなわれました。
2015年に発売された4代目キャディのフロントマスクは、トゥーランとは異なる専用のデザインで、ゴルフVIIにも近いイメージでありながらヘッドライト、フロントグリル、フロントバンパーのデザインなどは、上位の商用車との共通性も持つ、独立したモデルのイメージを色濃くしています。
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