人気車ノートやアクアはなぜ売れる? 小型車市場で明暗分かれる理由とは
軽自動車の質感向上も、コンパクトカーへの逆風に
さらにマーチ/パッソ/ブーンと立ち位置の近い軽自動車において、メーカー間の開発競争が年々熾烈さを増している点も、3モデルにとっては逆風となっています。
近年、軽自動車は走行性能や内外装の質感、装備の充実度においてコンパクトカーを凌駕する勢いで進化を続けており、軽自動車とコンパクトカーを比べて検討するというケースはまったく珍しくないものになっています。
2018年度に販売台数No.1を達成したホンダ「N-BOX」は、年間販売台数が23万9706台を記録したほか、ノートより販売台数の多い軽自動車はN-BOXを含め5モデルも存在しています。
ちなみにN-BOXのスタート価格は138万5640円からと、マーチ/パッソ/ブーンよりも高い価格設定です。しかし、普通車と軽自動車の価格が逆転していたとしても、維持費の安さから比較対象としてあげられているのが現状です。
高い付加価値がウリのコンパクトカー・軽自動車から板挟みを受けるかたちで、『価格の手頃さ』『ボディの小ささ』をセールスポイントとしていたタイプのコンパクトカーは徐々に劣勢を強いられています。
一方、前述した3モデルの特徴のひとつである「全長3.7メートルから3.8メートル前後のボディ」に新たな付加価値をつけることで販売面で成功したクルマもあります。
そのモデルは、トヨタ「ルーミー」/トヨタ「タンク」/ダイハツ「トール」です。これらは兄弟車で、ルーミーとタンクはトールのOEM車という位置づけとなっており、同様にスバルへ供給されたOEM車として「ジャスティ」があります。
普通車の2018年度販売ランキングにおいて、ルーミーは9位(8万6645台)、タンクは12位(7万3013台)、トールは31位(3万227台)を記録しており、3車種合計の販売台数は18万9885台を記録しています。ランキングトップ50圏外となったジャスティも含めれば、およそ20万台程度売り上げているのは確実といえるでしょう。
これらの4車種は、前述のトールとプラットフォームをはじめとした基本設計が共通となっており、そのため3700mmから3725mmとブーン並の全長となっています。
その上で、ルーミーをはじめとするこれらのモデルが人気となった要因は、『ボディの小ささ』と『室内の広さ』の両立です。
ルーミー4兄弟は、ベースとなったブーンに対しボディの形をグッとスクエアにしました。全高も、1525mm(ブーン/パッソ)から1735mm(ルーミー/タンク/トール/ジャスティ)まで引き上げられています。
その結果、室内高は1355mmと、子どもが車内で着替えられるほどの室内空間を実現しました。扱いやすいボディサイズと広大な車内空間の両立が、ルーミー4兄弟の最大の特徴です。
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