なぜスライドドア化増える? 人気ミニバンからヒンジ式が消える理由とは
1990年代に始まった「ミニバンブーム」。30年近く不動の人気を誇るミニバンですが、ユーザーのミニバンに対するニーズは時代と共に変化をしているようです。ミニバンはどのような変化をして、いまなお人気を維持し続けているのでしょうか。
変わりゆく「ミニバンのニーズ」
日本の新車市場では、長く「ミニバン人気」が続いています。とくに最近では、後席がスライド式で全高1700mm超えモデルのミニバンが好調です。
しかし、一昔前までは後席がヒンジ式で、全高1700mmを下まわるモデルが人気でした。なぜ、同じミニバン市場のなかでニーズの変化が生まれたのでしょうか。
現在、販売されているヒンジ式(全高1700mm以下)のモデルは、トヨタ「プリウスα」とホンダ「ジェイド」くらいです。また、この2車種は3列シート仕様と併せて2列シート仕様も設定されているため、ミニバンにジャンル分けしづらい面もあります。
しかし、一昔前のミニバンにはヒンジ式で全高1700mm以下の車種が多くラインナップされていました。とくに、ホンダの初代「オデッセイ」が代表例といえます。
初代オデッセイは、1994年に発売されてヒット作になり、ミニバンを人気のカテゴリーに押し上げた功績があります。当時のオデッセイは、ヒンジ式で全高1700mm以下に収まるワゴン風のミニバンでした。
この後もオデッセイは、ワゴン風ボディで進化していきますが、2013年に5代目(現行型)になり、ヒンジ式からスライド式に改良したフラットフロア構造のミニバンに発展。
また、2000年に発売された5ナンバーサイズのホンダ「ストリーム」も存在。後席のドアがヒンジ式のワゴン風ミニバンで、2014年に2代目が販売を終えています。
同じ時代のトヨタにも、「イプサム」、「ガイア」、「マークXジオ」、「ウィッシュ」、「パッソセッテ」といったヒンジ式(全高1700mm以下)のミニバンが多数ラインナップしていました。
ほかにも、全高1700mm以下のミニバンは多くラインナップされていました。スライド式では、日産「リバティ」「ラフェスタ」、トヨタ「アイシス」、マツダ「プレマシー(初代はヒンジ式)」などです。
これらの全高を1700mm以下に抑えたワゴン風の車種は、ミニバンが普及を開始した1990年代の中盤から2000年代に掛けて販売は好調でしたが、徐々にワゴン風ミニバンの人気に陰りが見え始めます。
当時の販売状況について、日産販売店の元スタッフは次のように話します。
「1990年代の当時は、『セダン一強時代』ともいわれるほど、セダンタイプのクルマが多くラインナップされていました。そのため、いきなり背の高いミニバンにいくよりは、ワゴン風ミニバンのほうが走りも安定しつつ荷物も乗るということで好評でした。
しかし、2000年代後半になると徐々に背の高いミニバンが人気になってきます。そのあおりを受けて、軒並みにワゴン風ミニバンは販売終了していきます。
ミニバンへのニーズの変化については、ミニバンの普及開始から10年を経過して、『セダンからミニバン』と初めて乗り替えるユーザーが減ったことと、趣味の多様化によってクルマへのニーズが変わったことが挙げられます」
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その結果、全高1700mm以下のワゴン風ミニバンの3列目や荷室が狭く中途半端です。ミニバンを購入するのは、アウトドアなど多人数で移動することや3列目シートを畳んで自転車のような大きな荷物を積むなど、明確な目的を持ったユーザーに絞られるようになりました。
また、ヒンジ式はスライド式のミニバンに比べると、重心が低めで走行安定性が優れ、ドライバーの目線も適度な高さだから運転がしやすいのですが、これらの過渡的なメリットは注目されませんでした。
ミニバンが高重心で走りに不利なのは了承済みで、それ以上にほかのカテゴリーでは得られない「大勢乗せて、たくさん積む」機能が重視されたのです。
ラフェスタはヒンジでなくスライドですよ
ミニバンのスライドドアが重宝がられるのは、子供が明け閉めしても隣の車にドアパンチする心配がないからだと思う。
社用車、役員車にアルファードが増えてるのは、単に室内空間が広いから。いつかはミニバンの憧れではないと思う。