特殊なシフトレバーが原因? なぜ加害車両は「プリウス」が多いのか いま見直されるMT車も防止策に

暴走事故を食い止める対応策とは?

 高齢のドライバーが加害者になった事故を含めて、プリウスが多く関係しているのは、大量に売られる車種で高齢ドライバーの比率も高いからでしょう。

先進的な内装のトヨタ「プリウス」(4代目)

 プリウスの事故率は、損害保険料率算出機構による型式別料率クラスからも判断できます。

 型式別料率クラスとは、保険料を決めるための参考データで、保険を使った過去の事故事例から各車種が事故の加害者になる危険度を判定しています。

 対人賠償、対物賠償、搭乗者傷害、車両という項目に分かれ、それぞれ9段階で示されます。数字が増えるほど、各項目の事故を発生させる危険性も高いと判断されます。

 この評価では、プリウスはほとんどの項目が「5」となり、事故発生のリスクが低いとはいえませんが、危険度の高い評価ではありません。プリウスが事故の加害車両として目立つのは、やはり保有台数が多く、高齢ドライバー比率が高いためです。

 問題は、頻発する暴走事故を防ぐ今後の対策でしょう。緊急課題なので、考えられる複数の対策を迅速に講じる必要があります。その内容は以下の通りです。

■衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)を装着したクルマのさらなる普及 

 65歳以上の高齢ドライバーが、緊急自動ブレーキの充実した車種を購入するときは、補助金の交付も考えて良いでしょう。プラグインハイブリッド車やクリーンディーゼルの補助金は終了させ、安全装備を優先して補助すべきです。

■後付けのペダル踏み間違い加速抑制機能の普及 

 トヨタやダイハツは、後付けできるペダル踏み間違い加速抑制機能を販売しています。停車、あるいは車庫入れなどのために徐行しているとき、障害物があるのにアクセルペダルを素早く深く踏み込むと、エンジンの出力を絞って急発進事故を防ぎます。

 価格は3万円から6万円ですが、これも高齢ドライバーを対象に補助金を交付すると良いです。高齢ドライバーの多い車種を中心に、なるべく多くのクルマに装着できるようにします。

■ペダル配置の見直し

 今に始まったことではありませんが、車内の広さを重視する前輪駆動車の場合、ペダルと右側前輪の間隔が近づきます。車内を広く使うため、運転席を前寄りに設置した結果ですが、この設計では前輪の収まる部分を避けてペダルが左寄りに配置されやすいです。

 そうなると運転席に座って自然に足を伸ばし、本来はブレーキペダルが位置するところに、アクセルペダルが配置される場合があります。アクセル/ブレーキペダルをしっかりと右側に寄せる車両開発も、ペダル踏み間違いの事故防止に役立ちます。

■MT(マニュアルトランスミッション)車の推奨

 MT車では、アクセル/クラッチペダルをデリケートに連係させて操作しないと、発進や変速ができません。アクセルペダルを踏むだけで単純に発進するAT車に比べると操作が複雑です。ペダルを踏み間違えたら発進できないので、急発進事故も必然的に防げます。

 また、クラッチを踏むことで駆動力をカットできることをドライバーが体で覚えているため、仮に走行中にアクセルペダルが戻らないといった問題が発生した時でも、即座にクラッチペダルを踏んで暴走を防げます。

 今は緊急事態なので、MT車を推奨することも、急発進事故を防ぐ対策に含めて良いでしょう。考えられることは、すべてチャレンジすべきです。

 多くの人達が、いろいろなアイデアを出し合って、不幸な事故を減らしたいものです。

【了】

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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