【今日はなんの日】幻のクルマ「タッカー」が登場するアメリカ映画の4K版登場

「タッカー」は、1988年に公開されたアメリカ映画です。戦後の平和な時代に向けて、革新的なクルマを作っていたプレストン・トマス・タッカー。その幻のクルマとは、どんなものだったのでしょうか。

「プレストン・トマス・タッカー」ってどんな人物?

 1988年公開のアメリカ映画「タッカー」は、製作総指揮を「スターウォーズ」シリーズで知られるジョージ・ルーカス氏が務めたことや、監督を「ゴッドファーザー」を手がけたフランシス・フォード・コッポラ氏が担当していることで有名な作品です。

 この作品の4Kレストア版ブルーレイが2019年6月7日にリリースしました。いったいどのような作品なのでしょうか。

トヨタ博物館で展示されているタッカー トーピード(タッカー’48)

 この映画の題材になったのは、アメリカの実業家「プレストン・トマス・タッカー」。クルマのセールスマンやデザイナーなどの職業を経て、第二次世界大戦中には武装車両などの発明もしました。その後、「タッカーコーポレーション」という自動車会社を設立します。

 このタッカーコーポレーションは、第二次世界大戦が終了した平和な時代の自動車需要をあてこんで作られたため、1947年末から1949年初頭にこの会社が製造した乗用車「トーピード」は乗る人の安全性を重視した画期的なクルマとなりました。このクルマはタッカー本人がコンセプトを設計し、開発・設計も指導しています。

 ほとんどが1948年に作られたこのクルマは「タッカー’48」とも呼ばれ、約50台が生産されました。ドライバーのハンドル操作に合わせて操舵方向へ動くライトなど、斬新な発想が多く取り入れられたことが特徴です。また、当時は新しかった「シートベルト」を装備するなど、利用者の安全性が大きく高められています。

 安全性能にこだわったトーピードでしたが、諸般の事情からわずかな台数で製造が打ち切られ、会社もオークションにかけられてしまいます。その後、タッカーも53歳で亡くなりました。

 作中では、いつかアメリカは世界一の地位を失い「敗戦国」から工業製品を買うことになるだろう、という趣旨のセリフが出てきます。このセリフは、当時起きていた日米貿易摩擦を暗に現しているといわれており、タッカーの「戦後の需要を見越した自動車を構想する」といった先見性をよく現しています。

 先進的であったにもかかわらず不遇な運命をたどったこのクルマは、愛知県のトヨタ博物館で貴重な1台が保存されています。

【了】

トーピードも見られるトヨタ博物館の様子(5枚)

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