増加する高齢ドライバー 高齢化社会到来で起こりうる問題点とは

増加する高齢女性ドライバー

 別の視点でも、今後の高齢ドライバーに関する傾向を見ることができます。それは、高齢女性ドライバーの増加です。いまでは、女性がクルマを運転することは当たり前のようになりましたが、いまから40年から50年前は、女性ドライバーはまだ珍しい存在でした。

 統計を見ると、女性が運転免許を積極的に取得するようになったのは、男性と比べて少なくとも20年近く遅いといわれています。

高齢ドライバーも増加の一途を辿る

 2018年時点で、運転免許所有者の男女比は、男55%・女45%と均衡しています。65歳以上では男62%・女38%、75歳以上では男72%・女28%です。そして80歳以上では男78%・女21%と、現時点では高齢になるほど女性の数は一気に減っています。

 こうしたデータで明らかなように、今後は確実に高齢の女性ドライバー数が増えていくのです。平均寿命では女性は男性より長生きであることも、高齢女性ドライバーが増える要因です。

 高齢ドライバーの数が増え、さらに高齢者のなかでも統計的に事故を起こしやすい75歳以上の高齢ドライバーの数が増えていくことは確実な情勢です。

 そのため、国や警察は、高齢ドライバーによる安全運転を維持するための試みを強化しなければならなくなります。

 ところが、2019年春時点で大きな社会問題になっているように、高齢者講習の予約が取れず、最悪の場合は免許を失効してしまうケースが発生しています。

 今後の高齢ドライバー数の上昇は十分に予測できるため、国や警察は先手を打って、現実的な解決策を早期に考えるべきです。

 一方、高齢ではないドライバーや歩行者の人は、これからは高齢ドライバーが増えていくという事実をしっかりと受け止めることが大事です。

 そのうえで、高齢ドライバーとの共存するための方法を、地域や企業、そして学校や家庭で考えることが大切といえます。

【了】

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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