初代シーマは超えられない壁!? 偉大だったクルマ5選
平成と共に誕生し一世を風靡した2台のセダン
●トヨタ「セルシオ」
1980年代までトヨタ最高峰のクルマは「センチュリー」でしたが、法人需要がほとんどで、個人が買って自ら運転するクルマではありませんでした。
そこで、オーナーが運転する最高峰のクルマとして1989年に初代「セルシオ」が発売されます。メルセデス・ベンツやBMWといった欧州ブランドに負けない高級セダンを目標に、開発プロセスのすべてを原点から見直し、優れた走行性能と圧倒的な静粛性が追求されました。
同時にセルシオは北米にも輸出され、レクサス「LS400」としてレクサスブランドの構築にも貢献。その品質は北米でも認められ、会社役員や弁護士、医者といったセレブのクルマとして人気を獲得します。
実際にセルシオの品質は世界中の高級車メーカーを慌てさせるほど高く、ライバルメーカーのクルマ作りに大きな影響を与えました。
最高出力260馬力の4リッターV8DOHC「1UZ-FE型」エンジンは振動が少なく高い静粛性を実現し、低速走行ではエンジンの存在を忘れてしまうほどでした。
セルシオはその後、2回のフルモデルチェンジを経て、レクサス「LS」へバトンタッチしました。
●日産「シーマ」
いまから50年以上も前から、トヨタと日産は「クラウン」対「セドリック/グロリア」という覇権争いをしていました。その打開策として日産は1988年にセドリック/グロリアの上級仕様として、初代「セドリック シーマ」と「グロリア シーマ」(以下シーマ)を発売します。
ボディスタイルは3ナンバー専用の4ドアピラーレスハードトップとして、エンジンは3リッターV型6気筒DOHCを搭載。自然吸気で200馬力、ターボモデルでは255馬力という高出力を誇りました。
バブル景気や、1985年頃からの「中流意識」の高まりから生まれた「ハイソカーブーム」という背景もあり、シーマは大ヒット作となります。
また、他メーカーからも高級志向と高性能を兼ね備えたセダンが続々登場するなど、国内の高級車市場が活性化し、この状況を「シーマ現象」とも呼ばれました。
なお、シーマはその後モデルチェンジを重ね、現在は日産および海外のインフィニティブランドのフラッグシップモデルとして、ハイブリッドシステムを備えた5代目を販売しています。
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今回紹介した5台のうち、ステップワゴン以外はすべて1988年から1989年に発売されたモデルです。
開発がスタートしたころはすでに景気が上向きだったと思われるので、本当に良いモノを作るぞという技術者の気概が強かったことでしょう。
結果、昭和の終わりから平成元年は、偉大なクルマが誕生した時代となったわけです。
【了】
バブル期の車は今の車よりも安全面の基準が緩いので、色々な所にコストをかけられたのかもですね。景気が上向きで良いものを求めていた時代ですね。