なぜスマートじゃない? 全国に広がる「スマートIC」で一時停止が必要な理由とは

高速道路で見かける機会が増えた「スマートIC」。従来の料金所とは違い簡易的に設置できることから、全国で急速に増加しています。しかし、名前とは裏腹に利用時は一時停止を必ずしなければなりません。なぜ、“スマート”ではないのでしょうか

急速に広がりをみせる「スマートIC」とは

 普段、高速道路を走行していると利用することの多いETCサービス。最近では、サービスエリアやパーキングエリアなど、従来の料金所ではない場所にも「スマートインターチェンジ(スマートIC)」としてETCサービスを使用した簡易料金所ができています。

 名前に「スマート」と付いていますが、実際の利用時は必ず一時停止をしなければなりません。なぜ、“スマート”ではないのでしょうか。

観光地への渋滞緩和や新たな物流ルートの確保など、メリットが多い「スマートIC」

 スマートICとは、高速道路へのアクセス向上を目的に、高速道路の本線やサービスエリア、パーキングエリア、バス停留所などから乗り降りができるように設置されたインターチェンジです。通行可能な車両や支払い方法を、ETCを搭載した車両に限定しています。

 利用車両が限定されているため、簡易な料金所の設置で済み、従来のインターチェンジに比べて低コストで導入できるなどのメリットがあります。

 スマートICは、2004年10月に社会実験を実施し、2006年10月1日から一部導入、2009年2月の制度改正を経て、全国各地に本格導入されました。

 スマートICの利用について、NEXCO中日本は次のように話します。

―― スマートICを利用する上で制約はありますか。

 通行可能な車種や時間が限定されているスマートICがあります。看板などの案内をご確認ください。また、スマートICはETC専用ICであるため、現金やクレジットカードなどのETC以外の支払い方法は利用できません。

―― ETC専用ICなのに、なぜノンストップで通行できないのでしょうか。

 スマートICでは、開閉バーの手前で一旦停止したあとに、通信のやり取りが行われ開閉バーが開くシステムとなっております。そのため、ノンストップでの通行はできません。

 また、通信エラーやETCカード未挿入などにより通信できず開閉バーが開かなかった場合は、設置されている押しボタンを押して頂くと再度通信します。それでも開閉バーが開かなかった場合、係員がご案内します。

※ ※ ※

 スマートICは、従来の料金所を建設する規模や費用を大幅に軽減することが可能となるほか、観光地への渋滞緩和や新たな物流ルートの確保など、さまざまな面での経済効果も出ています。

 また、料金所で渋滞を緩和するべく、ETC料金所の開閉バーを廃止すると、どれぐらい渋滞が減るのかという実験を国土交通省が2015年に実施。

 安全性の確保とともに、渋滞緩和の効果が確認されれば、国交省は全国の料金所で開閉バーの撤去を検討する方針としています。

 今後、開閉バーを撤去することになれば、文字通りに「スマートなIC」が実現するかもしれません。 

【了】

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