スバル「レガシィ」誕生30年目に登場 7代目新型「アウトバック」は新時代の“GTカー”となるか
内装には、スバルの旗艦モデルにふさわしい大型ディスプレイを搭載
山本:一方、内装は縦型ディスプレイ内蔵のセンターコンソールを中心に刷新、質感も大きく高められています。
堀:道具としての機能を高める一方で、このクルマは弊社のフラッグシップでもあるので、「プレステージ性」と言う部分にも大きく注力しています。実はアウトバックユーザーの年齢層は54歳、経験に経験を積んだ人が選ぶので、本物であることが大事なのです。ナッパレザ-の採用や細部の造り込みの部分まで、徹底してこだわっています。
山本:ボディサイズは全長4860×全幅1855×全幅1680(mm)でトレッドも拡大されました。
堀:全幅はスペック上では15mm増加していますが、実はアーチフィンの分で片側7mmずつ拡大されただけなので、実質の変更はありません。ちなみに長さ方向(25mm増)に関してはラゲッジスペース拡大に用いています。
山本:シャシーは5代目インプレッサから採用が始まったSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)になります。
堀:SGPは衝突、ハンドリング、振動騒音、乗り心地、軽量化と全ての性能を引き上げることができるのが強みです。実は車両重量は数値だけ見ると現行と同じですが、中身で言うと60~70kg軽量化を行なっており、その重量分を性能向上に使っています。
山本:具体的にはどの部分でしょうか?
堀:衝突でいえばエネルギー吸収性を40%アップ、ハンドリングでいえばねじり剛性を70%アップ、振動騒音でいえば構造用接着剤の使用箇所を増やしています。
山本:ハンドリングですが、一般論では乗用車ベースのクロスオーバーは基本素性を考えると穏やかな特性にセットされたモデルが多いですが、新型はどうでしょうか?
堀:見た目はクロスオーバーですが、フラット感や安定感はステーションワゴン並みです。SGPに加えて、アルミ製のロアアームやリアハウジングの採用、更に上下方向のストロークスピードを上手にコントロールするように変更したダンパーのレシピなどが大きく寄与しています。シートも内部減衰を持たせるようにフォームも変えています。
山本:パワートレインは2.5リッターNA(FB25)に加え、2.4リッター直噴ターボ(FA24)が設定されました。実用上はNAで十分なのは解りますが、何か物足りなさを感じていた日本のユーザーにとっては吉報だと思います。
堀:新しく追加されたこのユニットは、260psのパフォーマンスに加えて低回転から力強いトルクをレギュラーガソリンで実現しています。かつて、日本では「レガシィ=ターボ」の時代もありましたが、そんなユーザーの返り咲きも狙いたいですね。レガシィの血統である“GT性能”も高まったと自負しています。
山本:スバルのグランドツーリングの定義は「より速く/より遠くに/より快適に/より安全に」ですが、新型アウトバックは新時代のGTカーと言っていいでしょう。
堀:ハードで言えばそうかもしれませんね。ちなみに燃料タンクの容量は現行と同じ70リッターですので、1タンクで1000km走破することも可能です。
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今年は1989年に初代レガシィが登場してから30年目の節目になります。筆者は5代目以降、レガシィの走りが大味になっていたのが気になっていましたが、新型はセダンを含めて次の30年に向けたスタートバッターにふさわしいモデルであることは間違いないと信じています。
ちなみに、日本仕様の導入まで若干時間はあるようですが、ターボモデルだけでなく、STIスポーツのような派生モデルにも期待したいところです。
【了】
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
私の考えですが…OUTBACKは GTカーにはなり得ないと私は思っています
LEVORG GT乗り motoprin