なぜ必要? 速度超過違反が存在するも法定最高速度以上のスピードが出る理由

日本の道路には全ての道路に最高速度の制限があります。しかし、国産車の多くはそれ以上の速度が出るように設計されています。なぜ国産車は法定速度以上が出るように設計されているのでしょうか。

クルマの速度リミッターは法定速度以上に設定されている

 現在日本の道路で、クルマが出してもいい速度制限のことを「法定速度」と呼びます。

 道路標識や路面標識などで速度制限の指定がない場合、クルマの法定速度は一般道路では時速60キロ(緊急車両等は時速80キロ)、高速道路では時速100キロ(大型車は時速80キロ)と道路交通法で定められています。

スピードメーターのイメージ

 ですが、自動車メーカーから現在販売されているクルマの多くは、時速140~180キロほどのスピードが出るように設計されています。

 日本国内で最も速い法定速度は新東名高速道路の時速120キロなので、どんなクルマであっても最高速度は時速120キロ出れば充分なはずです。

それではなぜ、クルマは法定速度を大きく超えた速度が出るように設計されているのでしょうか。それには以下の理由が挙げられます。

■危険回避をできるようにするため

 落石やなだれなどの自然災害、そして事故回避などの非常事態では、法定速度以上のスピードを出さないと危険から身を守れないケースが予想できます。そのため、緊急時にも素早く対応ができるように、時速100キロで走行中のときでも、それ以上のスピードを出せるように作られています。

■急な上り坂でもスピードが落ちないようにするため

 道路は平坦なところばかりではなく、高低差がある場所や急激な斜面などもあります。そして、日本の高速道路は最大勾配が6%(100メートルの水平区間で6メートルの高低差となる勾配)以内になるよう設計されているのです。

 かつて日本で初めての高速道路が開通したとき、当時の国産車の性能で6%の勾配を時速100キロで走るためには、平坦路で時速180キロが出るパワーが必要だったのです。

■クルマが重くてもスピードが出るようにするため

 クルマは車体が重くなればなるほど大きなパワーを必要とします。時速100キロで走っていても、運転手だけの時と8人フル乗車しているときでは必要な力が変わってきます。

 乗車定員全員が乗った状態や、荷物がたくさん載った状態であっても、時速100キロを維持できるようにパワーに余力を残しているのです。

■クルマへの負担を減らして燃費をよくするため

 アクセルを全開にして時速100キロを出すのと、アクセル開度30%で時速100キロを出すのとでは、エンジンの負担が変わってきます。時速180キロが出るクルマで時速100キロ巡航するのであれば、アクセルを多く踏む必要も無いので燃費もよくなります。

日本で最もスピードが出せる新東名高速道路(8枚)

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