昭和のサービスエリア飯は不味かった? 時代に合わせて進化したSA/PA事情とは
平成初期の努力が、2005年の民営化で一気に加速
高度経済成長を達成し、バブル景気に向かう1980年代後半から雲行きが怪しくなります。1986年(昭和61年)に、政府から総務庁勧告が下されたのです。
内容は、「料理メニューや商品が全国画一的で、嗜好が多様化・個性化する利用者の満足を得ていない」というものでした。また、それと並行するかのように、男性雑誌などで「SA/PAの食事はまずい」という批判が続出します。
実際に1980年代後半の料理の人気ランキングを見ると、「豚汁定食」「チャーシューメン」「カレーライス」「ポークカツ」というメニューが並びます。横綱級の人気を誇るのは「豚汁定食」です。
ランキングがあるということは、どこでも同じメニューだったことも意味します。また、内容もザ・定番ということで、バブルに向かう好景気の日本人としては物足りないモノがあったのでしょう。
指摘や批判を受け、SA/PA側も改善に乗り出します。1990年(平成2年)に、東名高速道路の足柄SA、翌1991年(平成3年)に海老名SAをリニューアル。非常にモダンなデザインを取り入れて、サービス向上のイメージアップを図ります。
また、レストランの調理人による「料理開発研究会」というコンテストもスタート。新メニューも着実に増加させていきます。さらに「ハイウェイポスト」といったユーザーの意見を取り入れる仕組みも導入しました。
このような地道な努力がさらに加速したのが、2005年(平成17年)の民営化です。高速道路は公団ではなく、NEXCO(ネクスコ)という組織が管理することになりました。
民営化されたことで、平成の初めごろから進められていた新メニュー開発や、SA/PAごとの特徴を生かすという方針がさらに強化されます。施設自体のリニューアルも定期的に実施され、ハードとソフトの両面からサービスの向上が進みました。
そうした努力の末に、ようやく最近になって、「SAやPAの料理がおいしくなった」といってもらえるようになったのです。
一度ついてしまったイメージはなかなか変えることが難しいもの。振り返ってみれば、昭和の最後にできあがった「SA/PAの食事はまずい」という汚名を返上するのに約30年間もかかりました。それがSA/PAの平成だったといえるのではないでしょうか。
【了】
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