選挙カーなぜ多様化? 従来のワンボックスから普通車・軽自動車が増えている理由
選挙期間に見かける機会の多い「選挙カー」。一般的には、白色のワンボックスタイプのクルマが多いですが、最近は普通車や軽自動車、カラフルなクルマが増えているようです。なぜ、従来とは違う選挙カーが増えているのでしょうか。
選挙期間中に見かける選挙カーとは
選挙の時期になると演説をしながら街中を走行している選挙カー(街宣車)を見かけます。一般的に選挙カーといえば、白色などの無地に立候補者の看板が付いていることがほとんどです。
しかし、最近ではトヨタ「アクア」や「シエンタ」などのルーフに看板を付けたクルマが増えています。なぜ、従来とは違う選挙カーが増えているのでしょうか。
選挙カーとは、選挙期間中に立候補者が街頭演説を行う際、お立ち台の役割となるほか、街宣時の走行でも活躍する乗り物で、専門業者から選挙カーをレンタルすることが一般的です。
選挙に興味がない人からは、「選挙カーでの名前の連呼」は嫌がられますが、有権者に対して『いかに覚えてもらうか』という部分では、選挙カーでの活動は重要な要素といえ、立候補者は選挙カーの看板デザインに力を入れるのです。
そのため、看板を目立たせる意味から従来の選挙カーでは白色などの目立たないボディ色で、お立ち台としても使えるワンボックスタイプのクルマが多く見られましたが、最近では普通車や軽自動車を街宣活動に使用する有権者が増えているといいます。
選挙カーのレンタルからさまざまな選挙活動を応援する専門会社は、次のように話します。
――専門カーにワンボックスタイプのクルマが多く使われている理由とは
ワンボックスのメリットは、基本的に商用車のため車体費が安いということが挙げられます。また、立候補者が高い位置で街頭演説を行えるほか、多人数の移動や荷物の積載など多くの利点を兼ね備えていました。
そのため、専用車も多く、いろいろな会社がレンタルを行っています。
――最近になって、普通乗用車や軽自動車、カラフルなクルマが増えた理由について
近年、派手なことは控えられる傾向にあります。市町村会議員選挙では、選挙事務所は自宅の一室を使用し、選挙カーも軽自動車ということが一般的になっているなど、有権者の反感を買わないよう選挙活動も変化しているのです。
また、2019年に限っていえば、「統一地方選挙」といって日程を全国で統一した選挙が行われています。多くの立候補者が選挙カーをレンタルするため、従来の選挙カーや地味な色合いの普通車や軽自動車も出払っているなどの理由で、カラフルなクルマが多くなったのではないでしょうか。
選挙に出るにはお金がかかる?
一般的に選挙にかかる費用は、選挙の種類や地域・選挙区の規模などによって大きく異なります。立候補する際には、「供託金」という制度によって、50万円から600万円ほどかかります。
供託金とは、立候補者に法律で決められた金額を、一時的に法務局に預けるお金で、選挙を争う意志のない人や売名などを目的とした立候補を防ぐ制度です。
ほかにも、選挙活動の運営資金として人件費や事務所の家賃、広告費などさまざまな部分でお金がかかり、市議会議員選挙の費用は200万円から800万円。参議院選挙になれば6千万円以上ともいわれています。
選挙の種類によっては、国や地方公共団体が候補者の選挙運動の費用の一部を負担する「選挙公費負担制度」というものもあります。
自分の住んでいる街や都道府県、国を「良くしたい」という信念を持つ人が立候補するのが選挙です。しかし、選挙期間中の街頭演説は「騒音問題」といえるほど、住民からのクレーム対象となることも。
しかし、選挙活動は「公職選挙法」によって、定められているのです。選挙カーによる活動について、総務省は次のように説明しています。
「選挙カーの走行中は、演説は行えず、自分の名前の連呼しかできません。それも、午前8時から午後8時までの間と決められています。また、停車状態であれば演説を行えます。
また、学校の周辺などでは静粛な活動を求められていますが、音量に関しては個人差があるために一概に規制されているわけではありません」
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このように、選挙カーによる演説などは「公職選挙法」によって定められているため、単純にうるさいからといって、警察に通報をしても意味はないようです。
【了】
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