ライトの早期点灯なぜ浸透しない? 来年から「自動ライト義務化」も未だに抱える問題
薄暮時はものが見えにくくなり、見落としを原因とする交通事故が多発する時間帯です。警察や自動車メーカーを始めとする関連団体は、「早めのライト点灯」を呼びかけています。なぜ、いまだに「早めのライト点灯」は浸透しないのでしょうか。
なぜ浸透しない?早めのライト点灯
日が暮れ始める薄暮時などでは、重大事故が多く発生しています。そのため、最近では警察や地方自治体、自動車メーカーなどさまざまな関連団体が「早めのライト点灯」を呼びかける活動を行っています。
しかし、現状ではあまり浸透しているとはいえません。なぜ、「早めのライト点灯」は浸透しないのでしょうか。
薄暮時はものが見えにくくなり、見落としを原因とする交通事故が多発する時間帯です。また、自分からは見えていたとしても、周りからは見えていないという認識の「ずれ」も起こりやすくなっています。
身近な現象としては、キャッチボールで白色のボールが見えづらくなってくるタイミングです。
ヘッドライトを点灯して自分の存在を知らせることが事故防止に有効となるのです。警察庁によると平成24年から平成28年の5年間における死亡事故発生状況を分析しました。結果、「日没時刻と重なる17時台から19時台に多く発生している」「薄暮時間帯には、自動車と歩行者が衝突する事故が最も多く発生しており、なかでも65歳以上の高齢歩行者が死亡する事故が多くなっている」などが明らかとなりました。
この調査結果を受けて警察庁は、「自動車運転者は前照灯の早めに点灯を行うとともに、歩行者や自転車利用者は明るい服装をしたり、反射材・ライトを活用し、自分の存在を周囲に知らせるようにしましょう」と、早めのライト点灯を促しています。
また、JAFが過去に実施した『早めのライト点灯』に関する質問では、約8割のユーザーが「実践している」と回答。
しかし、「早めのライト点灯」をしていると回答した人のなかで、ヘッドライトの点灯をしているのは約40%。最も多かったのは、約45%のスモールランプやフォグランプのみ点灯しているという結果でした。
そこで、国土交通省は、2016年10月に道路運送車両の保安基準を改正し「オートライト機能」の搭載を義務化しました。新型車については、2020年4月以降に発売となるクルマ、継続生産車については2021年10月からが対象です。
「オートライト機能」とは、クルマのセンサーが周囲の明るさを検知して、ヘッドライトを自動で点灯/消灯をしてくれる機能のことで、付け忘れを防ぐとともに「薄暮時」の事故を減らすことを目的としています。
オートライト機能搭載の義務化について、国土交通省は次のように説明しています。
──オートライトの義務化に際して、どのような背景があるのでしょうか。
基準を決めた2016年当時、夕方の薄暮時に高齢者の歩行者の事故が多かったため、2016年10月7日の国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において制定された、自動車の安全機能についての基準を日本でも取り入れて、義務化する方向に進みました。
──スイッチ周りはどのように規定されますか。欧州車などではOFF位置が無くなっているクルマも見受けます。
スイッチなどは、自動車メーカーに一任しています。オートライト機能は周囲の照度に応じて、自動的に点灯及び消灯する機能を有するものであるとしていて、この自動で点灯する機能を手動で解除することはできないとしています。
また、自動的に消灯する機能については、手動による解除が可能な構造とすることもできる。と規定しています。よって、オートライト機能の自動点灯を解除出来ないような作りであれば、スイッチの並び順などは問わない、ということになります。
かなり暗くなってもヘッドライトを点けない車は多い。自分はベテランだから多少暗くても点けないというまるで根拠のないことを言っている人もいる。人も車も一瞬の見落としが事故に繋がるということを再認識したい。