ボルボ「V60」はスタイリッシュな実用派 SUVブームの今だからこそ、あえてワゴンに注目
スポーティな外観に温かみのある内装のボルボ「V60」
先ずはそのスタイリングに注目してみましょう。ヘッドライトは最近のボルボのトレードマークであるトールハンマー(北欧神話の雷神が持つハンマー)をモチーフにしたデザインを採用しています。
ルーフは低く、ワイドに構えたスタンスでスポーティな印象を漂わせたスタイリッシュな外観でありながら、サイドシルエットに目を向けてみると、荷室の積載性を大切に設計されていることが分かります。
リアゲート上部は荷室の容積を天井付近まで広く確保した形状で、長尺物の荷物が天井付近まで積み込みやすいように配慮されています。荷室は壁面の凹凸を少なくしたことで、横幅の広い箱型の荷物が積み込みやすく、デッドスペースは最小限に抑えられました。
また、リアシートは60:40の2分割式で左右の背もたれを倒せるようになっていて、乗員の人数や積み込む荷物に応じて、臨機応変に使いこなせます。さらに、荷室の床下のボードを起こすと、買い物袋を引っかけるフックが出現し、スーパーなどで買い物した荷物が転がらないように支えることができるような便利な機能も盛り込まれています。
北欧家具のように温かみのあるデザインが施されたインテリアは、「ハイセンスなボルボ」を感じさせてくれます。
天然の風合いを活かした木材をあしらったインパネのしつらえや前後席の乗員の身体をストレスなく受け止めるシートを採用して、くつろげる移動空間を提供しています。
また、インパネ中央には、カーナビやオーディオ、車両設定などをタッチパネルの操作で行える大型モニターを採用し、タブレット端末のように、フリックやタッチ操作でクルマの機能と向き合うスタイルには、今ドキの空気が感じられます。
安定感のある乗り心地は、低重心のエステートならでは
今回試乗するのは直列4気筒 2リッターターボエンジンを搭載する「V60 T5 Inscription(インスクリプション)」です。
運転席に座って、シフトセレクターの脇に設けられたスイッチをひねるとエンジンが始動。動き出してみると、振動や騒音の少なさに驚かされます。
エンジンルームやタイヤハウスから響くはずのノイズは上手に遮断されていて、まるで高級なサルーンに乗っているような気分。一見すると大きめなクルマに見えますが、アクセルを少し深く踏み込めば、レスポンスよく加速してみせるので、車体の重たさを感じるようなこともありません。
カーブを曲がる時は、SUVとは違っていて、地面に張り付くようにして安定した姿勢で走れるあたりも、重心が低いエステートならではといえます。
また、今欲しい運転支援機能が標準装備されているのも安全イメージを牽引するボルボらしい部分です。前走車、自転車、歩行者などに衝突しそうなとき、事故被害を軽減するために自動ブレーキ作動する機能を備えているほか、高速道路などを走行する際は前走車と車間を維持しながら追従して走るアダプティブクルーズコントロールも採用しています。
操舵支援をクルマが行いながら、同一車線内にクルマを留めながらクルージングができるパイロットアシストも装備しているので、ロングドライブのストレスを減らしてくれることでしょう。
スタイリッシュで実用的な空間を求め、安全で快適な移動時間をもたらしてくれる「ボルボ V60」は、SUVがブームの今乗るからこそキラリと光る魅力的な実用車といえそうです。
【了】