なぜドアミラーが一般的に? 自動車大国日本が欧州や米国に遅れをとる理由とは

アメリカと欧州は深く連携

 技術面でのドイツ至上主義と上手に連携しているのが、アメリカです。NCAPなど衝突安全基準については、アメリカは各種の消費者向け指標がありますが、ドイツメーカーとしてはドル箱であるアメリカに対して、欧米での各種基準のすり合わせを行い、欧米が『WIN-WIN』になるような体制を作っています。

 その象徴的な存在が、EV(電気自動車)の急速充電器の標準化です。欧米メーカーは、コンポコネクターと呼ぶシステムの世界標準化を主張。日本が進めるチャデモ式に対して、極めて強く否定し続けている。その中心にいるのが、ジャーマン3なのです。

 ジャーマン3としては、「日本はこれまでさんざんドイツ至上主義を容認してきたのだから、EVについてもこちらの言うことを日本が聞くのが当然だ!」という姿勢をまったく崩しません。

チャデモ規格を採用する急速充電設備と電気自動車の日産「リーフ」

 そうしたなか、2018年8月後半には中国が日本のチャデモを活用することで大筋合意しました。しかし、ジャーマン3と米GM(ゼネラルモーターズ)と中国政府は長年に渡り強い絆があり、そう簡単に中国が一斉にチャデモ化するとは考えにくい状況です。

 また、自動運転において、日本は国連の欧州委員会に属する各種のワーキングチームで結成される、道路交通法や技術要件での自動運転の国際標準化の議論に加わっています。しかし、議論の主役はドイツであり、アメリカや中国とのすり合わせを行うのが国連の役目、という印象があります。

 日本が自動車関連で追従するのは、ジャーマン3など自動車メーカーに限りません。EVや自動運転に加えて、通信によるコネクテッドカーや、ライドシェアなどのシェアリングサービスの領域で、最近話題のGAFA(ガファ)に対する後追いが目立っているのです。

 GAFAとは、グーグル、アップル、フェイスブック、そしてアマゾンという米IT大手4社を指します。SNSやEC(電子商取引)が、これからの自動車産業で大きなカギとなることは間違いありません。

 当然、決済についてもGAFAは自動車産業に深く関与してくると予想できます。外圧に弱い日本。こうした状況は、まだまだ当分続きそうです。
 
【了】

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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