なぜドアミラーが一般的に? 自動車大国日本が欧州や米国に遅れをとる理由とは
日本は、世界有数の自動車大国です。トヨタ・日産・ホンダを始めとするさまざまな自動車メーカーが活躍しています。しかし、最新技術・機能や法整備、ビジネス面などあらゆる分野で欧州や米国の後追いとなっているのです。なぜ、得意とする自動車分野で日本は後追いとなってしまうのでしょうか。
ドアミラー、セルフガソリンなど、なんでも後追い
自動車に関するさまざまなことが、まずは海外で始まって、そこから日本に伝わってくることが多いのです。いまでは「当たり前」のドアミラーやセルフ式ガソリンスタンドなどあらゆるものを後追いしています。なぜ、日本はなんでも海外の後追いなのでしょうか。
1980年初頭に、いきなりドアミラーが解禁となり、それまで主流だったフェンダーミラーはタクシーなど一部商用車を除いて廃止。当時、ドアミラーは欧州、アメリカ、さらには中国返還前の香港などで日本に先行して使われていました。
また、セルフ式ガソリンスタンドも同様に後追いスタイル。2000年代に入り、日本で一気に普及し、アメリカでは当たり前になっていたビジネスモデルです。
日本でセルフ式ガソリンスタンドが導入され始めた当時、「女性は手がガソリン臭くなるので利用を敬遠するなど、日本人には不向きであまり流行らないのでは?」という声もあったと記憶していますが、そんな心配をよそに現在は全国でセルフ式が普及しています。
このほか、最近ではデイライトや連続して点滅するシーケンシャルウインカーなど、メルセデス・ベンツやBMWでの採用が先行し日本の高級車やミニバンも追従しているのです。
日本は、中国・アメリカに次ぐ、世界第三位の自動車大国であり、トヨタ、ホンダ、日産、スズキ、マツダ、三菱、スバル、ダイハツと大手乗用車メーカーが最新の技術研究と開発を行っているのに、自動車関連の新たなる技術やサービスで、なぜ日本が最初にならないのでしょうか。
そのカギを握るのは、国産自動車メーカーの開発背景にあります。「ジャーマン3(ダイムラー・BMW・VWグループ)、それからボッシュとコンチネンタルはいま、どうしていますか?」、自動車メーカーや自動車部品大手の技術関係者と意見交換していると、よく出るフレーズです。
悲しいことに、こうしたドイツ至上主義を観察するような日系自動車産業の姿勢は、いまも昔もあまり変りません。自動車が導入する新しい技術について、世界的に最も強い意見を持つのが、ドイツ。数十年前なら、エアバック、ABS(アンチ・ロック・ブレーキ)、そして車載データ通信システムもCAN(コントローラー・エリア・ネットワーク)など。
最近では、自動運転に関わる各種の技術要因で、ドイツ大手各社の発言力は極めて大きいと感じます。こうした声は、EU(欧州共同体)におけるEC(欧州委員会)でも同じ。欧州内で最も大きな産業は、ドイツの自動車産業に他ならないからです。
また近年、日本では自動ブレーキの機能が強化され、軽自動車でも標準装備されるようになりましたが、その裏にも欧州の影響力、つまりはドイツの影響が強くあります。ユーロNCAP(ニュー・カー・アセスメント・プログラム)という消費者向けの安全評価について、歩行者保護、さらには夜間の歩行者保護がテスト項目に加わりました。
それを受けて、日本でのJNCAPでも夜間の歩行者保護への対応が始まったため、トヨタをはじめとして日系自動車メーカー各社は昨年から、高度な運転支援システム(ADAS)で新たな量産計画を発表しています。