3列目ない2列シートミニバンなぜ増加? トヨタやホンダも次々導入する理由とは

昔からミニバンは、多人数乗車が当たり前となっていました。しかし、最近ではあえて2列シート仕様のミニバンが登場しているのです。なぜ、ミニバンの強みとなる「多人数乗車」仕様が無くなっているのでしょうか。

アクティブシニアが牽引か、変わりゆくミニバン市場

 現在のミニバンタイプが登場してから約30年。従来は「多人数乗車・多積載」がミニバンのメリットとなりファミリー層から絶大な支持を受けて、ミニバンは人気の市場となっています。

 しかし、2018年から2019年にかけて、コンパクトクラスやミドルクラスのミニバンに相次いで2列シート仕様車が登場。徐々に、ミニバンの3列シート離れが進んでいるような印象を受けます。

 なぜ、「多人数乗車・多積載」がメリットのミニバンに、あえて2列シートの5人乗り仕様車が登場し始めたのでしょうか。

トヨタ「シエンタ」は、2列シート車として2グレード(FUNBASE X・FUNBASE G)を新設定

 2018年5月にホンダ「ジェイド」がマイナーチェンジで2列5人乗り仕様を追加。同年9月には、コンパクトクラスのミニバンで販売台数トップとなるトヨタ「シエンタ」も、同様の仕様を新たに設定しました。

 さらに、2019年1月にはミドルクラスで販売台数トップのトヨタ「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」にも、「MULTI UTILITY(MU)」と呼ばれる2列シートで5人乗り仕様のコンプリートカーがモデリスタから登場しました。

 大きな理由のひとつと考えられるのは、約680万人とも言われる『団塊の世代』の動向です。現在70歳台に突入しているこの世代の人たちは、生涯現役という意識が強く、男女問わず消費活動に積極的で、趣味や付き合いも多い『アクティブシニア』と呼ばれています。

 流行にも敏感で、近年再びブームとなっているアウトドアレジャーは、釣りやサイクリング、山登りやキャンプなど、アクティブシニアもその人気の一端を担っているため、選ぶクルマも人を乗せることより、荷物スペースの広さと使い勝手を重視する傾向となっているのです。

 トヨタ「シエンタ」のマイナーチェンジを担当した、トヨタの製品企画チーフエンジニア・粥川宏氏は次のように、ユーザー動向を説明しています。

「『3列はいらないから、荷物がたくさん積めること』、『車の中で泊まれること』、『荷室空間をカスタマイズできること』というアクティブシニアの要望をキャッチし、それに応える2列仕様を追加してユーザー層を広げたいという想いがありました」

 そして、要望のひとつに挙がった「車中泊」のニーズが高まっていることも、大きな理由といえるでしょう。

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