なぜ激減? 後方視界を確保する「リアワイパー」がセダンから消える理由とは

一昔前まで、セダンにも「リアワイパー」が装着されていることが多かったです。しかし、最近のセダンでは滅多に見かけることはありません。なぜ減少したのでしょうか。

懐かしき存在になりつつある「リアワイパー」

 2000年頃まで、セダンにリアワイパーが装着されていたモデルが多く存在していました。しかし、最近のセダンではリアワイパーを採用しているモデルが減っています。

 一見、後方視界を確保するためにはあった方が良いように思えますが、なぜ減少傾向にあるのでしょうか。

最近見かける機会が減ったリアワイパー(画像イメージはマツダの初代「アテンザ」)

 現在でも、ミニバンやSUV、ハッチバックなどのモデルには必ずといって良いほど、標準で装着されているリアワイパー。とくに、雨や雪などの天候時では、リアワイパーの有無によって後方の安全性が変わってくるほどです。

 リアワイパーが普及し始めたのは1980年頃。当時は、各自動車メーカーがハッチバックモデルを多く発売していました。リア面が地面にほぼ垂直になっているため、雨や汚れの付着を除去する目的で搭載されていきます。

 当時の駐車時などでは、いまのようにバックモニターやコーナーセンサーは無かったことから、ドアミラー(フェンダーミラー)とルームミラー、そして目視がバックをするために重要な要素でした。

 そのため、セダンの多くにもリアワイパーを装着したモデルやグレードが存在していました。

 しかし最近では標準化以外にもグレードやオプションといった部分でも、リアワイパーを採用していないモデルが増えています。

 初代のマツダ「アテンザ」はリアワイパーが装着されていましたが、現行のアテンザやアクセラのセダンにはリアワイパーを採用していません。無くなった理由をマツダの関係者は次にように説明します。

「リアワイパーが無くなったひとつの理由として、空力の問題があります。ハッチバック車やSUVなどはリア面が垂直になっているため、汚れが付着しやすくなっています。

 一方、セダンでは車体上部と下部、それぞれからの気流がスムーズに流れることから汚れが付着しづらいとの理由で、最近のセダンモデルでは採用していません」

 また、一部グレードや仕様にリアワイパーを設定し続けているホンダの関係者は次のように説明します。

「一般的にクルマの装備については、開発から発売までのプロセスにおいて、車両の特性やお客様がお求めやすい価格設定など、市場の状況を考慮しながら検討を重ねた上で決定しております。

 その中でセダンについては、ミニバンやステーションワゴン系のクルマに比べ、トランクの存在により後輪が巻き上げる汚れがリアウインドウに付着しにくいということもあり、リアワイパーを設定しないモデルも増えてきています。

 現在、弊社のセダンライナップでは「グレイス」の4WDにリアワイパーが設定されており、これは4WDを購入希望されるお客様の多くが降雪地域にお住まいであり、日頃から必要とされているためです」

 ホンダと同様に、トヨタや日産も一部グレードや仕様にリアワイパーを設定している車種が存在しています。

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