今も昔も軽自動車は軽くて楽しい? 懐かしくなる軽スポーツ5選
発売されなかった幻のモデルホンダ「スポーツ360」
●ホンダ「スポーツ360」
1962年の「第9回全日本自動車ショー」のホンダブースに真っ赤で小さなオープンカーが展示されていました。車名は「スポーツ360」で、来場者の目を釘付けにしたといいます。
同ショーでは、他に軽トラックの「T360」と「スポーツ500」が展示され、このどれかがホンダ初の4輪車になることが決まっていました。結果、「T360」がホンダ初の4輪車として発売され、続いて「S500」を発売し、「スポーツ360」は発売には至りませんでした。
その理由は、クルマの輸入自由化を1963年の春をめどとし、国際競争力強化のために自動車会社の再編を行ない、統廃合や新規参入の制限をするという法案(特定産業振興臨時措置法案:特振法)の施行が迫っていたため、ホンダは早急に普通乗用車を発売するしかなかったということです。
結局、特振法は廃案となりますが、「スポーツ360」は発売されることなく幻のモデルになってしまいます。
その後の「スポーツ360」は廃棄されたのか行方不明となり、ホンダも所蔵していませんでした。そこで、ホンダの有志により「スポーツ360」の復刻プロジェクトが立ち上がり、東京モーターショー2013での展示に向け動きました。
復刻にあたり図面も一部が失われたなか、写真やOBの証言など断片的なものをつなぎ合わせ完成に至り、エンジンは「T360」のDOHC直列4気筒を流用し、ボディも一部残っていたパーツ以外は新規で制作したといいます。
こうして復刻した「スポーツ360」は東京モーターショー2013のホンダブースで「S660コンセプト」と共に壇上に展示され、再び来場者の注目を浴びることになりました。
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今では希少となった軽スポーツカー。今でも一部のクルマ好きでは、「AZ-1」、「ビート」、「カプチーノ」の頭文字を取って「ABCトリオ」と呼ばれるほど人気のクルマたち。今後も軽くて楽しい愛される軽スポーツが出ることに期待したいところです。
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