急がば回れ! 高速道路で追越車線の方が渋滞するワケ
年末年始やお盆時期は、帰省のために高速道路を利用するユーザーが増加します。そこで毎年問題になるのが、ジャンクションやパーキングエリア周辺で起こりやすい大渋滞です。
毎年話題になる、年末年始の凍速道路大渋滞……
年末年始やお盆時期に話題になるのが、帰省ラッシュによる高速道路の渋滞です。利用される方の中には少しでも早く目的地に着こうと、追越車線を走行する場合もあるのではないでしょうか。
しかし、そのような追越車線の利用が渋滞の一因になっているという実験データがあります。今回は、実際に実験を行ったNEXCO東日本関東支社にお話を伺ってみました。
NEXCO東日本の実験では、走行車線の利用促進で渋滞緩和
──追越車線の方が渋滞しやすいと聞いたのですが、いつ頃から渋滞対策実験をはじめたのでしょうか?
NEXCO東日本では、平成29年より、渋滞対策実験を行っております。平成29年は7月から11月にかけて3回ほどのタイミングで、平成30年は10月から11月の休日に実施しました。その実験結果によると、追越車線の利用を制限したことで渋滞が軽減されたというデータが出ています。
──どのような実験を行ったのでしょうか?
追越車線の利用が渋滞につながるのかを検証するために、LED情報板で左側の走行車線の利用を促しました。平成29年10月8日(日)に東北道(上り)佐野藤岡IC~館林IC間で行った実験では、同様の混雑が想定される場合の日よりも追越し車線の利用が6%減少し、同時に渋滞時間が1.5時間短縮、最大渋滞長が12km減少しました。
これらは、通過する車両数を自動的に計測するための車線に埋め込まれた観測機器“トラフィックカウンター”で、その過密具合を計測しています。
──追越車線の利用で渋滞が発生するメカニズムを教えてください。
ある1台の車が走行車線をゆっくり走行していた場合、その車を追い越そうと、後ろの車が追越車線を利用します。同様に走行車線の車が次々と追越し車線を利用すると追越車線に車群が形成されます。すると、何かの拍子に追越車線の車群の車がブレーキを踏んだ場合、後ろの車も次々とブレーキを踏んでしまうのです。追越車線が渋滞すると、走行車線でも後続車が速度を落とすため、渋滞が発生してしまいます。
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高速道路で追越車線を走行し続けていると、道路交通法20条違反で、罰則を科せられる場合もあります。追越車線の利用は、必要性がある場合のみにとどめ、スムーズで安全な運転を心がけましょう。
【了】