年末怒涛のレース参戦 2チーム掛け持ちでダブル表彰台!

助っ人が欲しい!なら一人入れちゃおう!

 ただ、二台目のドライブが決まったのは、実は予選が終わった晩のことでした。僕が契約していたのはD3クラスのアルティスをドライブすることでしたが、このチームはD2クラスに86を走らせており、それにも乗って欲しいという話になったのです。予選タイムから決勝のオペレーションを練っていたら、どうやら助っ人が欲しいということになったらしいのです。

トヨタチームタイランドのアルティスを勝利へと導くため参戦

 新鮮だったのは、予選も走っていないのに、決勝での出走が許されることです。規則にがんじがらめに縛られている日本では考えられません。ですが、海外では自由です。誰にも迷惑をかけず、それが有効なことならば認めようという本質的な理解度が高いのです。決まりは決まりだからという役所的な不合理はありません。

 僕が出ることで誰も迷惑がかかることではありません。ライバルは嫌かもしれませんけれどね。というのも、僕はD3クラスの予選を消化していますし、決勝を戦っていいよという基準タイムをクリアしています。有効な国際ライセンスも取得しています。安全基準を満たしたヘルメットやスーツも所持しています。エントリー期間が過ぎているとか(エントリー期限があるとも思えませんが)、ドライバー枠がオーバーしているとか(枠があるのかしりませんが)、でなければ、走行が可能なのです。

二つのチームで見事に表彰台獲得

 この柔軟性が素晴らしいですよね。それによって僕はこうしてここで記事を書くことになりました。それにより、主催者は世界に情報を発信するというメリットを享受したはずです。ドライブした僕も、楽しかった。チームも表彰台というメリットを得た。誰も損をしていないばかりか、みんながハッピーだったのです。

 タイのモータースポーツは、日増しにヒートアップしています。できればちょっと気にかけてくれると、今回僕が乗ったことのメリットがひとつ増えるかもしれません。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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