社会問題まで発展した「車中泊」 手軽さが薄れゆくなか、ビジネス化が進む理由とは

いまや、「車中泊マナー」は社会問題にも発展しています。「手軽さ」がウリだった車中泊はいまやルールの明文化やトラブル防止の保険まで登場するなど、一大ビジネスとなっています。

車中泊ブーム促進の起爆剤となる?新たなサービスがスタート

 近年、クルマの新たな使い方として、アウトドアや車中泊がブーム化。これにより、道の駅の利用者数増加やキャンピングカーの売上向上などさまざまなジャンルにも影響を及ぼすなど一大ビジネスへと拡大しています。

「車中泊ブーム」はいまやアウトドア・キャンピングカーなどと一体化した巨大ビジネス市場となっている

 実際に、日本のキャンピングカー台数はこの10年で約2倍となり、旅行やレジャーを目的に車中泊を経験したことがある人の割合は4割を占めまるまでになりました。

 一方、車中泊経験者の過半数が宿泊拠点の環境や設備に課題を感じているといいます。さらに最近では、道の駅での車中泊によるマナー悪化のトラブルも起きるなど、「車中泊ブーム」は社会問題化し、早急な対策が必要となってきています。

 こうした背景によって、あらゆるジャンルの企業や団体がルールの策定や利用場所の囲い込みを行い、ビジネス化しています。しかし、車中泊は「手軽さ」や「無料または低額」という要因があった上でブームになったといえ、当事者以外の参入により、ウリであった「手軽さ」が薄れているようにも見えてきます。

 いままでも、ユーザー発信でブーム化したモノやジャンルが他社企業・団体の参入により人気に陰りが見え、ブームが終焉するということがありました。今回の「車中泊ブーム」も同様の流れになる可能性はないのでしょうか。

 今回、日本初の車中泊やクルマ旅旅行者向けシェアリングサービスを開始する「Carstay(カーステイ)」は、三井住友海上火災保険が提供する車中泊旅行者向けの保険に包括加入したと発表しています。

 これは、車中泊旅行者向けの「個人賠償責任保険」と車中泊事業者向けの「施設所有(管理)者賠償責任保険」の双方に「Carstay」が加入することで、サービス利用者が施設料以外の負担なく、万が一の事故に備えることができるサービスです。

 前出のマナー悪化による対策の一環として「保険」というサービスを展開。しかし、本来の「手軽さ」という点は薄れないのでしょうか。「Carstay)」を運営するCarstay株式会社は、次のように話します。

――「carstay」のサービス内容を教えください。

 当サービスは、クルマを使って旅行をする人(訪日外国人を含む)を対象にしたサービスで、『世界中の人々が好きなときに、好きな場所へ行くことができ、感動体験を好きな人と一緒に味わえる未来社会を実現したい』と考えています。

 現在、日本の各地域では、『宿泊施設不足』『インバウンド集客』『キャッシュ対応』などさまざま課題を持っていますが、この地域課題をクリアできるサービスとしてcarstayを2019年1月末から日本初の車中泊シェアリングサービスとしてスタートする予定です。

――各地域にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

 2次交通が未発達なエリアでの施設への集客や自治体様からは観光消費増などのメリットが考えられます。

――サービス開始に伴い、「一定のルールを明確化」とありますが、どのようなルールなのでしょうか。

 基本的には、貸し借りに関するルールですので、賃貸マンションやカーシェアリングと同様のルールです。民泊問題で話題となったAirbnbでの問題点などを踏まえて作成しています。

――車中泊ブームの要因といえる「手軽さ」は、最近のビジネス化により薄れないのでしょうか。

 懸念されるポイントもたしかにあるかと思いますが、ユーザー層の違いかなと考えております。民泊もAirbnbが台頭する前から無料で人の家に泊まっていた人はいて、その人たちは今もそうしています。

 新しくサービス化をすることにより、今まで興味がなかった人たちが民泊を利用することで新しい市場ができたので、Carstayが推進する車中泊もそのような形で、新しい市場を作っていきたいと思っています。

※ ※ ※

 車中泊ブームにより、各地の道の駅では「車中泊OK」から「車中泊NG」へとルールを変更しているところも増えています。そのなかで、クルマでの旅行を楽しむユーザーと空いている場所を有効活用したいユーザーがいる以上は、ブームの勢いは失っても適性なビジネスとして発展していくのかも知れません。
 
【了】

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