「クルマじゃないから大丈夫」は通用しない! 「酒気帯び自転車」で自動車の運転免許が免停になるおそれも!? 2025年は1500人以上が処分対象に
福岡県朝倉市において、自転車で酒気帯び運転をしたとして、フィリピン国籍の49歳の男が逮捕されました。自転車の違反と軽く考える人も散見されますが、自動車の運転免許が停止される可能性もあるため、注意が必要です。
自転車だからと軽く考えるのはNG!
2026年8月31日の深夜、福岡県朝倉市の路上において酒を飲んだ状態で自転車を運転したとして、朝倉市に住む職業不詳、フィリピン国籍の49歳の男が道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕されました。
警察によりますと、男は8月31日の午後10時頃、朝倉市内の交差点でパトカーとすれ違った際、急に自転車をこぐスピードを上げる不審な動きをしたということです。そこで警察は追跡を始め、一度は男を見失ったものの、付近で特徴が似た自転車を再び発見しました。
その際、自転車を運転していた男が駐輪場付近をぐるぐる回るなど不審な動きをしたため、警察官が男を調べたところ、男の呼気から基準値の2倍を超えるアルコールが検出され、男を酒気帯び運転で逮捕するに至りました。
呼気検査をした当時、男は「お酒は飲んでいない」と話していましたが、その後の取り調べに対しては「31日の夕方に自宅でストロング缶を2本飲んで寝た。起きたときにお酒のにおいがしたので、体にアルコールが残っていたのは間違いない」などと話し、容疑を認めています。

実は自転車の飲酒運転に関しては、「クルマほど大きな乗り物ではない」「危険ではない」といった誤った認識や安易な判断で、飲酒運転をしてしまう人が後を絶ちません。
また、2024年11月に道路交通法が改正される以前は、酩酊状態で自転車を運転する「酒酔い運転」のみ処罰の対象であり、酒気帯び運転については罰則規定がなかったため、「どうせ検挙されても処罰されない」という考えを持つ人もみられました。
加えて、罰則のある酒酔い運転に関しても、言語が不自然であったり歩行が不確かであったりと「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」が認められなければ、酒酔い運転として検挙することが難しい状況でした。
しかしその後、さらなる飲酒運転関係法令の改正がおこなわれ、2026年9月現在は酒酔い運転と酒気帯び運転にそれぞれ以下のような要件と罰則が設けられています。
<酒酔い運転>
・要件
「呼気1リットル中のアルコール濃度が0.5ミリグラム以上」または「その他アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」
・罰則
5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
<酒気帯び運転>
・要件
呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15ミリグラム以上0.5ミリグラム未満
・罰則
3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
さらに、自転車の交通違反で検挙されても点数は付きませんが、「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」と公安委員会が認めたときは、運転免許保有者に対して6か月を超えない範囲内で免許停止処分をおこなうことがあります。
たとえば「自転車でひき逃げ事件や死亡事故などの重大な交通事故をおこした場合」や「酒酔い運転・酒気帯び運転をはじめとする特に悪質・危険な違反を犯した場合」などは、自動車の運転者として不適格と判断され、運転免許停止処分を受ける可能性があります。
実際のところ、2026年6月には静岡県公安委員会が、同年1月~5月末までの間に自転車で飲酒運転をするなどした9人に対し、クルマの運転免許を停止する行政処分をしていたことが報じられました。
警察庁によると、2025年中、自転車の飲酒運転をしてクルマの運転免許停止処分を受けた人は1507人に上り、2024年の23人から大幅に増加しました。自転車の危険な運転を理由に自動車の運転免許が停止されるケースは、今後も増えていくことが予想されます。
※ ※ ※
警察庁の統計によると、2025年中に発生した自転車関連事故6万7470件のうち、約7割にあたる4万7416件で、自転車側に「交差点安全進行義務違反」や「一時不停止」など、何らかの法令違反があったことが明らかになっています。
「自転車だから」と甘く考えず、場合によっては歩行者を死傷させるおそれがあると理解した上で、それぞれの自転車ユーザーが交通ルールを守り、安全運転をしていくことが求められます。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。















