トイレをAIが覗く!? 高速道SA/PA「トイレ」に忘れ物検知機能を導入する背景とは

高速道路のSA/PAに、AI技術を活用したトイレの忘れ物を自動検知する「アウトラインセンサー」と呼ばれる機能を来年度以降導入するといいます。どの様な仕組みのものなのでしょうか。

「一定時間動かないもの」をAIが検知して、お知らせするシステムとは?

 世界に類を見ない、圧巻の充実設備と最高の清潔感で知られる日本の高速道路のSA/PAに、また一つ、AI技術を活用した凄いシステムが来年度以降導入されることになりました。トイレ内の忘れ物や人の動きをセンサーが検知し、異常があればお知らせするシステムで来年度以降、本格導入が始まります。

高速道SA/PA「トイレ」(画像はイメージ)

 NEXCO中日本のグループ会社である中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社が株式会社木村技研と共同で開発したのは、「アウトラインセンサー」と呼ばれる機能です。これは、個室トイレ内で動けなくなった人や、財布やスマホなどの忘れ物を早期に発見する機能を持ったセンサーのことで、天井に設置して人や物の動きを検知、そのアウトライン(輪郭)が一定時間動かなければ「忘れ物」や「異常」と判断。画像を撮影するのではなく、あくまでも「輪郭」を読み取るためプライバシーの確保も万全とのことです。

 実際にどの様な仕組みになっているのでしょうか? NEXCO中日本広報室に聞いてみました。

「人がトイレに入ると、個室ドアの開閉信号が検知します。入室後にもし突然の病気や発作などでトイレに倒れこんだとします。一定時間が経過しても人の動きにまったく変化がない場合は『倒れこみ』と判定し異常を知らせます。

 また、トイレから出た後、個室内に一定の大きさ(10cm×5cm程度)の物が残っている場合は、瞬時に「忘れ物」と判定します。倒れこみや忘れ物を発見するセンサーの開発はこれまで別々に行われてきましたが、今回発表した本技術はその両方を1つのセンサーで発見することを可能としています。検知に必要な明るさを確保するためのLED照明や忘れ物などをお知らせするスピーカー、黄色LED照明も一体化されています」(NEXCO中日本広報室)

すでに鞍ヶ池PAにて試行検証を開始 いくつか誤った検知も…

 実はすでに今年の6月から東海環状自動車道上にある鞍ヶ池(くらがいけ)PAの男子トイレ2か所で試行検証が行われており、8月と9月に鞄と杖の忘れ物を検知したそうで、倒れこみについては検知無しとのことでした。

 しかし、誤った検知もいくつかあり、その中で多かったのはトイレットペーパーの紙片や紙くず、個室内に侵入してきた虫などを「忘れ物」と判断してしまうことだったそうです。

 鞍ヶ池PAが検証の場に選ばれた理由について尋ねたところ、前出のNEXCO中日本広報室は、「鞍ヶ池PAは施設としてやや古く、リニューアルも進んでいません。それもあって夏はトイレに虫が入ってくることも多いのです。個室トイレへの虫の侵入をどのように検知するか? あえて、負荷が掛かる場所を選んで実験を開始しました。現在、AIに『虫やトイレットペーパーは忘れ物ではない』と、覚えさせているところで、勉強中なのです」(NEXCO中日本広報室)

どんな仕組み? 画像で見る高速道SA/PA「トイレ」忘れ物検知機能(8枚)

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