トイレをAIが覗く!? 高速道SA/PA「トイレ」に忘れ物検知機能を導入する背景とは
忘れ物検知機能導入の背景にあるものとは?
ところで、なぜこのようなシステムを導入したのでしょうか? それは、SA/PAでの忘れものの多さが関わっています。
NEXCO中日本管内での忘れ物や落とし物の問い合わせは、年間2万件以上(2017年度は22,722件)もあり、とくに多いのが本人も周囲も気づきにくいトイレの個室内です。多くの忘れ物への問い合わせに対応するSA/PAスタッフの手間は相当なもので、明確に個室トイレの場所を覚えている人は少なく、スタッフがトイレを一つひとつ確認に回ることも少なくないといいます。
また、中にはごみ箱の中に鍵やスマホを落とすケースもあるそうで、そのたびに大きなゴミ箱の中からスタッフが手探りで探しているとのこと。忘れ物の自動検知システムが普及すれば、スタッフの負担も減らしてくれると期待されています。
高速道路の忘れ物、多いものは何?
SA/PAのトイレで多い忘れ物についてもNEXCO中日本広報室に聞いてみました。
御在所SA(東名阪道)で2017年10月~18年9月の1年間にすべての男女トイレ(手洗所などもふくむ)で調査したところ、
1.スマホ 142件
2.かばん 70件
3.財布 58件
4.お土産 6件
5.その他(傘、車の鍵など)180件
という結果になったそうです。やはり1位はスマホのようです。大抵の場合はすぐに気付いて取りに戻って来るそうですが、中には「帰りも高速を使うので反対側のSAに届けておいてください」というお願いもあるとのこと。NEXCO中日本管内のSA/PAでは、状況に応じて可能な限り対応しているそうです。
当システムは目下、検知した内容を利用者やエリアキャストに伝えるための専用モニターや音声案内装置などの開発を行っており、2019年度より「忘れ物が多いSA/PA」から随時導入する予定とのこと。忘れ物が多い=利用者が多いことになるので、利用者数日本一の東名「海老名SA」あたりから導入される可能性が高そうです。
【了】
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。