インディアン新型「FTR1200/1200S」登場 米国のエンジニアが語る開発経緯とは?

アメリカのフラット・トラック・レースにおいて著しい活躍を見せるインディアン・モーターサイクルは、レースに参戦するバイク「FTR750」をイメージソースにした新型車「FTR1200/1200S」を発表。その開発の経緯について本国のエンジニアに話を伺ってみました。

フラット・トラッカー・スタイリングと120馬力の新型Vツインエンジンを組み合わせた、オール・ニュー・プラットフォーム

 2018年10月1日、米国のインディアン・モーターサイクルはドイツのケルンで開催されたインターモト・ショーで、「FTR1200/FTR1200S」を発表しました。

インディアン新型「FTR1200/FTR1200S」

 同年6月21日にフランスで開催されたイベント「Wheels & Waves festival (ホイール&ウェイブス・フェスティバル)」でプロトタイプが披露され、世界中のアメリカン・モーターサイクル・マニアから注目を集めていた同モデルですが、そのストリートバージョンといえる「FTR 1200」は2019年前半に国内での販売を予定しています。

 このモデルの期待値を語る上で、まずは“アメリカン・フラット・トラック”という競技について説明する必要があります。平坦なオーバル(楕円)コースを左回りで周回する単純なこのレースは一見シンプルながら奥が深く、1/4マイル(約402.3m)の直線で争われるドラッグレースと並び、米国で高い人気を博しています。

 私達が想像しやすい環境で例えると、「カチカチに路面を固めた競馬場」で競われるこのレースは、AMA(アメリカン・モーターサイクル・アソシエーション)に残る記録によると1946年からGNC(グランド・ナショナル・チャンピオンシップ)という名称で開始され、現在はAFT(アメリカン・フラット・トラック)としてシリーズ戦を開催。

 コースの距離によってマイルレースやハーフマイルレース、ショートトラックなどがあり、他にも通常のモトクロスのようにジャンプ台やS字カーブなどが設置されたTTレースなども存在しますが、現在、このレースシーンを席巻し、王座に輝いているのがインディアンです。

 そんな“アメリカン・フラット・トラック・レーシング”の世界に於いて他の追従を許さない活躍を見せている同メーカーですが、そこに参戦するレースバイク「FTR750」のイメージをストレートに投影した「FTR1200」は、まさにマニア垂涎のモデルと呼べる存在になることが予想出来ます。

インディアン「FTR750」で勝利を重ねるJared Mees(ジャレッド・ミー)選手

 ちなみに、この“フラットトラック”という競技では、長きに渡ってハーレーダビッドソンが王座に君臨してきました。レースの黎明期である1951年から1953年こそインディアンが王座に輝いた過去もあるのですが、2015年までは、ほぼハーレーダビッドソンが王者になっていたといっても過言ではありません。

 特に1970年代に“XR750”というレーシング・マシンが登場してからのハーレーダビッドソンの強さは、無敵ともいえる状態でしたが、2016年にインディアンが投入した“FTR750”によって、その縮図は見事に塗り替えられたといってもいいでしょう。

 実際、2017年には過去にH-Dワークス・チームに在籍したライダー、Jared Mees(ジャレッド・ミー)を起用したインディアンが年間チャンピオンを獲得し、2018年シーズンもJared Meesの他、2016年にカワサキで王者を獲得したBryan Smith(ブライアン・スミス)、そしてBrad Baker(ブラッド・ベイカー)などで編成された「 Indian Wrecking Crew Team(インディアン・レッキング・クルー・チーム)」は今シーズンもフラットトラック・シーンで二連覇を決め、無敵の強さを誇っています。

 現在進行形のアメリカン・フラットトラック・レーシングの世界に於いて他の追従を許さない“FTR750”をイメージソースにし、開発された“FTR1200”がマニアから大きな注目を集めるのは、やはり必然なのかもしれません。

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