ホンダ独自のハイブリッド「e:HEV」って何がスゴい? 新たに「S+Shift」も搭載で“無敵”に? 車好きなら誰でも「笑顔」になる画期的ハイブリッドの特徴とは?

ホンダの各モデルで設定される2モーターハイブリッド「e:HEV」。その技術の特徴やほかにないメリットについて解説します。

「e:HEV」の魅力をぐんと引き出す「S+Shift」も凄かった!

 さらにこの強みを最大限に活かし、走りの愉しさを高いレベルへと引き上げる制御が「Honda S+Shift(以下、S+シフト)」になります。

 この制御の核となるのが、進化した「ステップシフト制御」と「スポーツアダプティブ制御」の融合になります。加速時には、まるで熟練のドライバーが有段トランスミッションを操っているかのような、リズミカルなステップ変速を再現しますが、その秘密はアップシフトの瞬間にあります。

 発電用モーターを積極的に回生駆動させてエンジンに意図的な負荷(フリクション)をかけ、エンジン回転数を鋭く下降させると同時に、駆動用モーターの出力を一瞬だけ低下させています。

 この緻密な協調制御でDCTやMTさながらのリアルな変速Gとダイレクトなフィードバックをドライバーに伝えています。

「スポーツe:HEV」と「Honda S+Shift」を搭載するホンダ「シビック e:HEV RS」[マイナーチェンジモデル/2026年6月発売]
「スポーツe:HEV」と「Honda S+Shift」を搭載するホンダ「シビック e:HEV RS」[マイナーチェンジモデル/2026年6月発売]

 さらに減速時の制御にも徹底してこだわっています。一般的なHEVはアクセルOFFで即座にエンジンが停止するため、コーナー脱出時などの再加速で一瞬のタイムラグが生じ、「意のままの走り」を阻害しがちでした。

 しかしS+シフトは、ブレーキングや減速Gを感知すると、発電用モーターの回生量をコントロールしてエンジン回転数を鋭く跳ね上げる「ブリッピング」を演出。

 また走行状態に応じた高い回転数を維持する「シフトホールド」をシチュエーションに応じて実行します。これにより、コーナー立ち上がりなどの繊細なアクセルワークに対してもタイムラグは皆無となり、阿吽の呼吸で即座に強力なトルクを発揮する“臨戦態勢”を維持できるのです。

 これらの制御は、高度に連動する「ASC(アクティブ・サウンド・コントロール)」が奏でる心地よいエンジンサウンドとメーターディスプレイの動きと完全に同期。

 こうしたデジタル制御を高次元でシンクロさせることで、ドライバーの脳内に「最高に気持ちの良いパワーユニットを、いま自分で操っている」という至高のアナログ体験を可能にしています。

「スポーツe:HEV」と「Honda S+Shift」を搭載するホンダ「プレリュード」[2025年9月発売]
「スポーツe:HEV」と「Honda S+Shift」を搭載するホンダ「プレリュード」[2025年9月発売]

 また、モーター制御だからこそ生み出せる「拡張性」も強みの1つです。

「プレリュード」のS+シフトは、ドライブモードに応じてパワートレインの特性が「キャラ変」します。

 かつてのホンダのフラッグシップ「レジェンド」に搭載されたような、大排気量NAのような粘り強いトルク特性を見せる「コンフォート」、バランサーシャフト付きの「K20Aエンジン」を彷彿とさせる、精緻で洗練された高回転の伸びをみせる「GT」。

 そして常にパワーバンドをキープする「スポーツ」と、ガソリン車では物理的に共存し得ない複数の「エンジンの人格」を1台の中に宿し、シーンに応じて使い分ける楽しさを備えています。

 この「スポーツe:HEV」×「S+シフト」を水平展開し、専用の内外装と引き締まったフットワークを組み合わせたのが「シビック」のマイナーチェンジで設定された「e:HEV RS」です。

 このe:HEV RSは、従来のガソリン車に匹敵するスポーツ性を手に入れたことで、シビック「RS」の販売比率を3割から一気に7割近くへと跳ね上げています。

 これまで多くのメーカーが挑みながらも成し得なかった「乗るたびに心が昂るハイブリッドスポーツ」を、ホンダはスポーツe:HEV×S+シフトの組み合わせで可能にしたのです。

 個人的には、“ハイブリッド嫌い”のクルマ好きも納得できるハイブリッドと言っていいと思います。

 筆者はこれを、初代IMAからの苦闘、そして3つのスポーツハイブリッドでの手痛い反省と挑戦の歴史があったからこそ到達できたと思っています。

 時代がどれだけ電動化へとシフトし、厳しい環境規制の中でもホンダは「走る喜び」を忘れない。その姿勢と高度な技術力の融合こそが、新時代の「ホンダらしさ」なのかなと。

 このS+シフト、ホンダは「他の車種にも水平展開していく」と公言済みですが、次はどの車種なのでしょうか。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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