“646馬力”のアメリカン「スポーツSUV」×独創デザインの“フレンチ高級車”! 最新のキャデラック「リリックV」とDS「No8」はどんなクルマ?
アメリカのキャデラック「リリックV」とフランスのDS「NO8」。ともに最新の高級BEVですが、目指す方向性はまるで正反対です。2台を乗り比べると、どのような違いが見えてくるのでしょうか。
米仏が送り出した“高級車”
少し前まではBEV(バッテリー式電気自動車)といえば、環境性能を意識したコンセプトのモデルがほとんどでした。しかし、近年は静粛性とシームレスな走りという高級車に好まれる特性を生かして、BEVを積極的に取り入れる高級ブランドも増えています。
そこで今回は、フランスのDSオートモビル、アメリカのキャデラックと、それぞれの国を代表する高級ブランドが送り出したBEVフラッグシップモデルを乗り比べてみました。

リリックVは、キャデラックブランド初のBEVである「リリック」をベースとしたハイパフォーマンスモデル。システム最高出力646馬力、最大トルク904Nmを発生していて、0-96km/h加速は3.3秒という俊足を誇ります。
そんなハイパワーを受け止めるために、専用セットアップされたサスペンションやブレンボ製6ポッドキャリパーも装備されます。並大抵のスポーツカーをも凌駕する性能を持つリリックVですが、ラグジュアリーSUVらしい快適性も忘れていないというのがポイントです。

一方のNo8は、パフォーマンスを売りとするリリックVとは異なるコンセプトを持つモデルです。
ステランティスのフレンチブランドのなかでも高級ブランドに位置するDSオートモビル。その新たなフラッグシップモデルとして位置づけられるモデルです。
No8をベースとした特別仕様車はフランス大統領府向けにも製作され、公式行事で使用されています。そう聞けば、フランス国内での立ち位置が分かるでしょう。
容量97.2kWhという大きなバッテリーを有していて、最大160kWの急速充電に対応しているなど、先進的なBEVとしての顔も持ちます。大容量のバッテリーとCd値0.24と徹底的に空気抵抗が抑えられたボディ形状によって750kmという航続距離を持っているのも、BEVモデルのなかでの個性といえるポイントです。
キャデラックとDSオートモビル、どちらもそれぞれの国を代表する高級ブランドですが、一目見てキャラクターは大きく異なるモデルだと気づかされます。
王道な高級車を行くのは、間違いなくキャデラックのリリックVです。ベンチレーション機能までついたフルレザーシートを基調としたブラック基調のインテリアに、大きな33インチディスプレイが組み合わされていて、「王道高級車とアメリカ的テック感の融合」という室内空間に仕上がっています。
対してNo8は奇抜で独創的といった印象。各種操作系のスイッチのデザインや配置も他のブランドにはないものとなっていて、慣れが必要なものです。
しかし、その印象を決定的なものにするのがステアリング。クルーザーを思わせるようなデザインは、クルマのステアリングとしてまさに唯一無二。また、明るいタンカラーのナッパレザーのインテリアは、今どき珍しい仕様といえます。
他にはない世界観のなかで移動したいならば、NO8という選択肢は魅力的に映る人もいるはずです。

走りもまるで正反対だった
乗り比べてみると明確に違いがありました。ハイパフォーマンスを誇るリリックVは専用のVモードボタンを2回押すと、パフォーマンスを高める「コンペティティブ」モードとなります。
このモードではスポーツカーを思わせるレスポンスとフラットな車両姿勢を見せてくれましたが、コンフォートな「ツアー」モードを選ぶと高級車らしい乗り心地で、コンフォート性能の満足度は高いです。
対してNo8は、どこか路面からの入力がビシバシと乗員に伝わってくる印象です。同ブランドの弟分である「No4」の乗り心地がよかっただけに、少し期待外れに感じたポイントでした。
コンフォートモードを選んでもそれは変わらずでしたが、コンフォートモードだとスロットルの反応をあえて鈍くさせているセットとなっていて、乗員にやさしいドライブができるような仕上げだなと感じました。
そしてリリックVで感心したポイントがもうひとつ。それが回生ブレーキのコントロール方法です。
パドルシフトのような位置に回生ブレーキのコントロールレバーが備わっているのですが、他のBEVのように段階的にシフトダウンしていく反応となるものではなく、自転車のブレーキレバーのように反力があり、フットブレーキのように回生ブレーキをコントロールできます。
もちろん、絶対的な制動力はフットブレーキのほうが優れていますが、多くのBEVに採用してほしいと思う回生ブレーキの操作インターフェースだと感じるポイントです。なお、これはベース車のリリックにも備わっています。
それぞれの国を代表する高級ブランドが送り出すBEVフラッグシップの2台。この文字の並びだけ見たら、似たようなクルマに仕上がりそうですが、国の好みやブランドの個性が存分に現れていて、異なる世界観であることを身に染みる試乗時間となりました。
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なお、キャデラック・リリックVの価格(消費税込、以下同)は1890万円で、デリバリーは2027年初頭から予定されています。DS No8は1005万円からです。
Writer: 西川昇吾
1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。













































































