アメリカ大統領も護衛する「キャデラック・エスカレード」 VIPに愛されるその理由は?
決して無骨なSUVにあらず!力強さにエレガントさを兼ね揃えた野獣!
搭載するエンジンはV型8気筒の自然吸気です。排気量はなんと6153ccもあり、最高出力は426PS、最大トルクは623Nmに達します。加速して驚かされたのは、3トンにも迫る重さであるにも関わらず、グイグイと強引に速度を高めていくことです。その力強さは強烈です。おそらく巨像にまたがってサバンナを駆け回るのは、こんな感覚なのだろうと思えました。
ただし、誤解すべきではないのは、エスカレードがただ大きくて力持ちだけの無骨なSUVではないことです。電子制御のサスペンションですから、乗り心地はしっとりとしています。さらに、高い悪路走破性も備えていますが、ジープタイプのクルマのような乗り心地の荒さはありません。安全装備も最新のシステムが組み込まれています。
室内の装飾は高級感に溢れています。物々しさはエスカレードの特徴ですが、意外なことに洗練されているのです。巨像というより、安楽なリビングごと動いている感覚ですね。
エスカレードは、フルサイズSUVを都会的なイメージに持ち込んだパイオニアだと思います。それまでの巨大なSUVは、砂漠を突き進み、道なき道を踏破するようなオフロード色が強いものでした。ですが、エスカレードは俳優や歌手をショー会場でエスコートするようになり、あるいはアメリカのセレブがマイカーとして使用することになり、やがては大統領の護衛車になりました。ラグジャリーSUVの雄なのです。けして無骨ではないのです。
エスカレードからは強さと富をイメージしてしまいます。フルサイズSUVを日本で乗るにはちょっと覚悟が必要ですが、それだけの価値はあると思います。なお、キャデラック・エスカレードの価格は、1260万9000円(税込)からです。
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Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。