最新ハーレー「FXDR114」に試乗 味わい深さ、強烈すぎる加速感、旋回力、多方向に触手が伸び進化を感じる!
猛牛のごとく、凄まじいまでの加速力!!
では、アクセルをガツンとワイドオープンにし、エンジンを引っ張り上げたらどうなるかを試してみると、これまた強烈なダッシュが味わえて痛快なのです。アメリカの道路の舗装は粗悪なのでしょう、240mmの極太タイヤから一気に駆動力をかけると路面を捉えきれず、瞬間的に空転し、そしてすぐにグリップを取り戻し猛牛のように直線を突き進みます。その加速力と直進安定性は、ストレートのみで速度を競うドラッグレーサーのようです。
そして意外な一面も。コーナーにさしかかると、車体がスンナリと寝ていき、その長い車体からは想像できなかった軽快な旋回性を見せてくれます。フロントフォークを34度にまで深く角度を付けてセットし、ホイールベースは1735mmとラインナップ中、最長となりました。にもかかわらず曲がることを苦手としていないのは、モノショック式としたリアサスペンションや軽量高剛性なアルミ鍛造製ホイール、専用スイングアームらのおかげで、軽い身のこなしを実現しているのです。
プロモーション動画がサーキットで撮影されているのもハーレーでは異例で、それほどに運動性能に自信を持っているのでしょう。公表されたリーンアングルは右32.6度、左32.8度で「ソフテイルファミリー」最大。ステップはフォワードコントロールで、クルーザー然としたスタイルですがバンクセンサーを備えていますし、サイレンサーはバンク角を稼ぐよう三角断面形状に。コーナリング性能も高めていることがわかります。
オールドファンも唸らせる鼓動感や低回転化にこだわりながらも、現代的な加速性能そして従来にはなかった高い旋回性能も追い求めた最新ハーレー「FXDR114」。乗ると、同社のこれから歩もうとしていく道が明るいことを感じずにはいられません。
新型「FXDR114」の価格は、286万2000円(税込)からです。
【了】
Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。