最新ハーレー「FXDR114」に試乗 味わい深さ、強烈すぎる加速感、旋回力、多方向に触手が伸び進化を感じる!

ハーレーダビッドソンに新たに加わったファミリー「FXDR114」は、軽自動車3台分に近いパワーユニットを搭載しています。

オールドハーレーのような味わい深さを復活させたモデル

 ハーレーダビッドソンが夏の終わりに発表した2019年ラインナップ。ファンらの間で注目されているのが、「ソフテイルファミリー」に新加入した「FXDR114」です。ハーレーダビッドソン(以下ハーレー)の本社がある米国ウィスコンシン州ミルウォーキーにて、試乗することができました。

ハーレー「FXDR114」に試乗する筆者(青木タカオ)

 まず、ハーレーのラインナップが、いまどうなっているのかを説明しておきましょう。「ツーリング」「ソフテイル」「スポーツスター」「ストリート」「トライク」そして受注生産の最上級グレード「CVO(カスタム・ビークル・オペレーションズ)」という6つにカテゴライズされ、それぞれが「◯◯◯◯ファミリー」と呼ばれます。

 大柄なフェアリングや荷物を入れるケースが付いた上級クルーザーシリーズが「ツーリングファミリー」で、「ソフテイルファミリー」は装備をスッキリさせ、カスタムルックとしている系統です。現行では『ローライダー』や『ファットボーイ』といった昔からある定番モデルも、ここに属します。詳しい人なら「ダイナファミリーは?」「V-RODは?」と疑問を持たれるかもしれませんが、両者は2017年モデルが最終で、もはや姿を消しています。

低回転のまま、余裕あるクルージングができる!

 今回登場した「FXDR114」は、低くて長い車体に排気量を114キュービックインチ(1868cc)にまで拡大した強力な空冷Vツインエンジンを搭載した超弩級クルーザーです。もうすぐ2リッター、軽自動車3台分に近い大きさのパワーユニットゆえに低回転域から潤沢なトルクを発揮し、わずか2000回転程度でも街乗りをこなしてしまいます。

1868cc MILWAUKEE-EIGHT 114エンジン(ミルウォーキーエイト 114)

 ちなみに最大トルク160Nmは3500回転で発揮され、ピークがそれゆえに低いところにあるのです。回転を引っ張り上げずとも低回転域でゆったりクルージングできるよう、OHVそしてロングストロークというトルク重視のエンジン設計によって、これを実現しています。

 走り出すと、無意識のうちにどんどんシフトアップしていくことになり、結果的に高めのギヤを使って「ドコドコ」言わせながら走ることになるのです。ノンビリ走っているだけで心地良く、ハーレーの開発陣はこれが持ち味であることを自分たちで知っています。じつはひとつ前の世代の「ツインカムエンジン」では、その魅力が薄れかけていたことに気付いたのです。

 リサーチによって、オールドハーレーのような味わい深さをユーザーが求めていることを知り、新たに開発したのが「FXDR114」に搭載される「ミルウォーキーエイト」というパワーユニットです。2本あったカムシャフトを昔のエンジンのように1本に戻し、フライホイールの慣性マスを向上。1000回転強と高めで不評だったアイドリングを850回転にまで下げて、それでもエンジンオイルが回るよう量を増やし、オイルポンプも強化。バッテリーチャージも確実にできるよう充電系統も強化しました。

 低回転化というのはたやすくなく、きちんと燃焼するようバルブ数も2本から4本に増やし、スパークプラグもツインに。ひと昔前なら高回転ハイパワー化するためのテクノロジーを使って、ハーレーらしいテイスティな部分を追求したのです。

ハーレー「FXDR114」に試乗する筆者(青木タカオ)

 短距離スプリンターのような高回転ハイパワー化より、アメリカの広大な土地を移動する性能を求め続けてきたハーレーは、結果的に心地良い鼓動感などがユーザーに高く評価されています。それを知ると、ローテクにこだわるのではなく最新の技術を用いて、オールドハーレーのような味わい深い新エンジンをつくろうとなったそうで、ハーレーというバイクメーカーは面白いなとつくづく思います。

最新ハーレー「FXDR114」に速攻試乗の模様を画像で見る(10枚)

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