トヨタ「“新型”RAV4 PHEV」の出来栄えは? 329馬力の「本命モデル」は“第6世代”最新システム&初の「GR SPORT」設定! 走りの印象はいかに

トヨタ新型「RAV4」のPHEVモデルが2026年3月に発売されました。新型RAV4の“本命”ともいえるこのPHEVモデルの走りはどうだったのか、自動車研究家の山本シンヤ氏が試乗して確かめました。

滑らかな「Z」と走りの「GR SPORT」 どう違う?

 そんな新型RAV4 PHEVには2つの仕様が存在します。ひとつは「Z」です。

 新型RAV4の中核に位置するグレードですが、HEVモデルに対して、エクステリアにはフロントの専用LEDクリアランスランプや、ボディ下部へのピアノブラック塗装の樹脂部品を採用。さらにホイールもブラック仕様にすることで、少し都会的で上級志向な装いとなっています。

「Z」と「GR SPORT」
「Z」と「GR SPORT」

 フットワークはHEVに準じていますが、PHEV化による重量増に対応して最適化されています。ハンドリングは、背の高さを感じさせない一体感のあるクルマの動きや、4輪を上手に使った旋回姿勢など、HEVと共通する良さを持っています。

 その上で、低重心化と重量アップが良い方向に効いているのか、姿勢変化が少なく、タイヤがより路面を掴んでいる感覚が強いため、結果としてさらに安心・安定したコーナリングが可能でした。

 乗り心地は、HEVよりもシットリとした足の動きと入力の優しさが相まって、HEVで気になった細かい凸凹によるヒョコヒョコとした振動を上手に抑え込んでいます。まさに「元気だけど大人」な快適性です。

 つまり、新型RAV4の持つ軽快さと、都会派SUVである「ハリアー」のような上質さを兼ね備えた走り味・乗り味であり、エクステリア同様、少し都会的なキャラクターに仕上がっています。

 もうひとつが、日本向けのRAV4としては初設定となる「GR SPORT(GRスポーツ)」です。

 GRの世界観を幅広い人に届ける入門編という位置づけですが、エクステリアは進化版「ファンクショナルマトリックスグリル」を採用したフロントマスクや、空力操縦安定性に寄与するフロントリップスポイラー/リアウイング&サイドスポイラー、1本あたり2.2kgの軽量化を図った専用アルミホイールなどを採用しています。

 インテリアはブラック&レッドでコーディネートされ、本革×ブランノーブ素材の除電スタビライジングシートや専用ペダル、専用スカッフプレートなどが採用されています。

トヨタ新型「RAV4 PHEV」(写真は「Z」)
トヨタ新型「RAV4 PHEV」(写真は「Z」)

 ただ、個人的には「GRヤリス」や「GRカローラ」のようなメーター表示の専用デザインがないこと、そして高い静粛性があるのにJBLプレミアムオーディオが非装着であることなど、細かなツメの甘さが少し残念に感じられました。

 しかし、フットワークは素晴らしい出来栄えです。

 新型RAV4で初出しとなった、第2世代「GA-K」プラットフォームの素性の良さはそのままに、よりハンドリングに注力したセットアップを施すため、フロントにパフォーマンスダンパー、リアにサスペンションメンバーブレースを追加。

 引き上げられた体幹に合わせ、フロント25mm・リア20mmのワイドトレッド化を図り、さらに“匠”が入念に適合を行なった専用サスペンション&EPS(電動パワーステアリング)制御などが採用されています。

 実際に試乗すると、良い意味で裏切られました。今回の試乗は激しい雨&風というバッド・コンディションでしたが、それでも路面状況やタイヤの接地感が掴みやすく、コーナリングでは狙ったラインを外さずに、スーッと気持ちよく曲がっていくハンドリングにビックリ。

 ただ、Zに対して過度にスパルタンなのかというとそうではなく、ハンドリングの質や精度が高められている印象です。言うなれば、クルマ好きが唸る「スーパーノーマル」と呼びたくなる、本質的なスポーティさに仕上がっています。

 快適性についても、「これがGR SPORTなのか?」と疑うほどの高レベルです。首都高の段差を「トントン」といなす足の動きは、“プレミアム・スポーティ”と言えるほどの高い動的質感を備えています。

 おそらくサスペンションなどはZより引き締められているはずですが、無駄な振動を抑えた体幹と、タイヤの縦バネ(たわみ)やサスペンションの役割・連携が絶妙なため、路面状況によっては逆にZより乗り心地が良いシーンも見られたほどです。

 ただ、ひとつ欲をいえば「ドライブモード」です。スポーツモードに切り替えると、EPS(電動パワーステアリング)制御はGR SPORT専用設定になりますが、パワートレインの制御自体はZと同じなのが惜しいところ。

 例えば、加速時に時間限定で出力を大きく引き上げる制御や、雪道などでGRヤリスやGRカローラのような積極的な姿勢変化を愉しめる制御など、モーターの実力をフルに活用した“裏モード”のような遊び心があれば、GRらしいワクワク感がもっと増すのではないか…と感じました。

 そろそろ結論にいきましょう。普段の街乗りはBEVとして静かに走り、ロングドライブでは足の長いHEVとして航続距離1000km以上を誇る。さらに、信頼の4WDシステムとレベルアップした走りの合わせ技によって、走る道をも選ばない。

 ちょっと大げさかもしれませんが、最先端のカーライフが体験できる「どこへでも行けそう、なんでもできそうな電動車」です。

 個人的には、ZはEVモードのスーッと走る滑らかさと心地よいフットワークのバランスが魅力で、GR SPORTは329psのシステム出力をフルに活かしたHEVモードの力強い加速と、より懐の深い走りとのバランスの良さが際立っていました。

 同じパワートレインでも得意な所はあえて分けて伝える…。そんな売り方をしても面白いと思います。

 600万円(Zの場合。GR SPORTは630万円・いずれも消費税込)の車両本体価格は一見すると高く感じるかもしれませんが、国の補助金や残価設定型クレジットを賢く活用すれば、実はリアルでリーズナブルに狙える選択肢です。

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