アイシン、「人テク展2026」に出展 車両統合制御と電動ブレーキの最新技術を解説
5月27日からパシフィコ横浜で開催中の「人とくるまのテクノロジー展2026」にて、アイシンが最新技術を公開しました。本記事では、クルマの動きをソフトウェアで横断的に最適化する「車両統合制御」の機能や、実車テストが進行している「将来ブレーキシステム」について解説します。
ソフトウェア融合で進化する、次世代の安心・快適なクルマ
2026年5月27日から29日までパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2026」にアイシンが出展しました。 走りのシステムを連携させる「車両統合制御」の具体的な機能や、実車テストが進展する「将来ブレーキシステム」について、担当者への取材を交えながら詳細を解説します。
アイシンはリアルな移動の進化に貢献するとともに、人々の心を動かす移動体験の提供を目指しています。
今回、人とくるまのテクノロジー展2026で、アイシンは「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」という経営理念のもと、最新技術を展示しています。
展示パネルでは「カスタマージャーニーで見るアイシンの提供価値」として、乗車前から降車後までの7つの段階におけるサポート技術が体系的に示されています。
具体的には、乗車前の「行動・移動サポート」や、オーナーの状況を先読みしてドアを自動開閉する「安全・安心エントリーサポート」が挙げられます。
さらに、移動中の「シーン・人に応じた安全な走りと快適な移動体験」や「自然対話での移動サポート」に加え、目的地の「最適駐車サポート」、降車後の「車内見守りサポート」「車両・街見守りサポート」といった、あらゆる場面での価値提供が提示されています

会場ではテーマごとに展示エリアが分かれており、「ユーザーに寄り添う走り・乗り心地」のゾーンでは、クルマの「走る・曲がる・止まる」を支えるシリーズパラレル式ハイブリッドトランスミッションの3Dホログラムによる動的展示が行われます。
さらに、アクティブリアステアリングや将来ブレーキシステムといったハードウェアに加え、それらを横断的に機能させる「車両統合制御」の体験コンテンツが用意されています。
一方、「安全・安心、快適な移動体験」のゾーンでは、人の動きを認識・先読みして快適な乗降を実現するインテリジェントピラーユニットを展示。
また、生成AIを活用したLBSエージェントや、リアルタイム音声認識アプリ「YYSystem」など、ソフトウェアを用いたコミュニケーションサポート技術も。
そのなかで、車両統合制御の進化の今後を示す展示では、「走りのカスタマイズ」や「スノーモード」などを例が紹介されました。
これは、eAxle、回生協調ブレーキ、電子制御サスペンション(AVS)、アクティブリアステアリング(ARS)などアイシンで取り扱っている幅広い製品を、ソフトウェアによって横断的にコントロールする技術です。現在、より多様な車両に展開できるよう開発が進められています。
担当者は、開発の経緯と現状について次のように説明します。
「これまでは個々の部品の性能を極める開発を中心に行ってきました。しかし、数年前から乗る人や利用シーンに合わせて全体を最適に動かすことで、より安心で快適な付加価値の高いクルマになると考え、開発の方向性をシフトしました。現在は北海道のテストコースにおいて、意図通りにクルマを動かす実証実験を行っています」
現在、大きく4つの機能が検証されています。
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・走りのカスタマイズ
穏やかで落ち着いた「ゆったり」や機敏な走りなど、好みに合わせてモードを選択し、揺れを抑えた走行が可能です。
現状はパネル操作での選択ですが、将来的には「疲れている」といったドライバーの言葉をシステムが汲み取り、対話形式で最適な制御を提案するインターフェースの構築を目指しています。
・スノーモード
雪道のブラインドカーブにおいて、ナビゲーション情報から曲率を事前に把握し、進入前に車速を落とします。
ブレーキの掛け方や駆動力を適切に制御することで、スリップを防ぎ安定した旋回を支援します。また、運転に不慣れな人には早期にシステムが介入し、熟練者には介入を控えるといった、ドライバーの技術レベルに応じた調整機能も想定されています。
・eAxle協調ABS
従来の油圧制御に代わり、モーターの回転数を利用してタイヤの滑りを制御します。常に最適なスリップ率を維持することで制動距離を短縮し、操舵性を確保する技術です。
・操舵協調AEB
歩行者の飛び出しなど、緊急の衝突回避が必要な場面で機能します。フロントのステアリングとブレーキのみで急激な操作を行うと車両がスピンするリスクがあるため、リアステア(ARS)を同方向に動かして車体をカニ歩きのように横移動させることで、姿勢を崩さずに安全に障害物を回避します。
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これらの機能は現在個別に評価されていますが、最終的にはすべてを一体化した単一のシステムとして提供することを目標としているといいます。今後は自動車メーカーとも協調し、法規制や安全性の基準を満たすための開発を進めていくようです。
開発が進む「将来ブレーキシステム」
車両運動性能の底上げと、前述の車両統合制御の進化に貢献する基幹部品として、アドヴィックス(ADVICS)の「将来ブレーキシステム」の展示も。
油圧式から電動ブレーキへと移行することで、高い応答性と4輪独立制御を実現します。さらに、回生協調ブレーキの制御範囲の拡大や、ブレーキパッドの引きずり低減により、燃費および電費の向上にも寄与します。担当者は次のように語ります。
「ソフトウェアでクルマの動きを統合的に制御するSDV(Software Defined Vehicle)化が進むなかで、意のままに動かせる応答性の高い電動ブレーキは当社の大きな強みになります。市場や顧客の要求に合わせ、前輪油圧・後輪電動の構成と、4輪すべてを電動化する構成の2つを提案できる体制を整えています」
前輪にフェールセーフ用の油圧機構(電動シリンダと油圧キャリパ)を残し、後輪を電動ブレーキとする構成は、2023年に開催されたジャパンモビリティショーでも提示されました。
現在はそれに加え、ECUと4つの電動ブレーキのみで完結する完全な4輪電動構成についても開発が進んでおり、テストコースでの実車試験の段階に移行しています。自動車メーカーの要望や車両の特性に応じて、最適なシステムを供給していく構えです。
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アイシンの展示から見えてくるのは、単なる部品の電動化や高性能化にとどまらず、それらをソフトウェアで高度に連携させることの重要性です。
車両統合制御や将来ブレーキシステムが実用化されることで、クルマはドライバーの意図や路面状況を先読みし、これまで以上に安心で快適な移動空間へと進化していくことが期待されます。
部品メーカーとしての技術力と、ソフトウェアによる全体最適化を融合させるアイシンの今後の取り組みが注目されます。
Writer: くるまのニュース編集部
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