「家族と過ごせない」解決に向け、第一歩! 自工会が「カレンダー見直し」で魅力ある産業に取り組む! 水素や物流の進捗も報告

日本自動車工業会は定例会見にて「新7つの課題」の進捗状況を説明しました。とくに自動車カレンダーの変更は、効率優先の旧体制を見直し、働き方を根本から変える施策です。休日の配置を世間に合わせることで家族と過ごす時間を確保し、選ばれ続ける産業へと進化するための具体的な道筋を解説します。

自工会の定例会が開催

 2026年5月21日、日本自動車工業会(以下、自工会)による定例会見が開催されました。

 冒頭では、設定された新7つの課題のうち「マルチパスウェイ社会実装」「サプライチェーン競争力向上」「人材基盤強化」の3項目について担当者から現状報告が行われています。

 そのなかで本記事では、私たちの生活や働き方に関係するカレンダーの見直しに焦点を当て、施策の狙いなどを解説します。

自動車産業の魅力向上を語る鈴木副会長
自動車産業の魅力向上を語る鈴木副会長

 自工会の佐藤恒治会長は挨拶で、現在の自動車産業が非常に厳しい環境下にあると指摘。

 サプライチェーンの安定維持や、多様化が進むエネルギー問題への対応、資源の有効活用に向けたロードマップ作成が急務であると述べています。

 国際的な競争力向上と生産性確保のため、各社が連携して協調領域を築く方針です。

 さらに「新7つの課題」は議論で終わらせず、実践とスピードを重んじて行動に移す決意を改めて示しました。

自工会の新7つの課題
自工会の新7つの課題

 今回の定例会では、冒頭に3つの課題とその進捗が各担当から説明が行われました。

 まず1つめは、「水素を活用したマルチパスウェイの社会実装」です。

 自工会が水素に取り組む大義として、「エネルギー安全保障」「産業競争力の確保」「脱炭素・GX」の3点が挙げられています。

 日本は「水電解によるつくる技術」「液化水素関連によるはこぶ・ためる技術」「FCセル・水素モビリティによるつかう技術」の3領域で高い優位性を持っています。

 基幹産業であるモビリティが先頭に立って水素の使用量を拡大させることで、将来的に製鉄や化学、発電といった他産業セクターへ代替エネルギーとしての波及(バトンタッチ)を狙い、水素価格の低減を促す方針です。

 具体的なプロジェクトとしては、官民連携による「水素大動脈構想」を掲げ、福島から福岡にいたる幹線輸送ルートでの水素トラックの普及を目指しています。

 経済合理性が成り立つ最初のスモールサクセス(ケーススタディ)として、平和島ステーションにおいて約80台、年間250tの利用による黒字化予測モデルを構築しました。

 これを基準に「今後10年間で大型トラック1500台相当(水素消費7500t/年)の導入、水素ステーションの30基追加、水素価格1000円/kgの実現」をマイルストーンとし、国内生産の副生水素なども積極的に活用しながら社会実装の歯車を回していきます。

自工会の水素の取り組みは?
自工会の水素の取り組みは?

 2つめは、「共同物流実装に向けた標準プラットフォーム構築」です。

 日本の物流は、自国調達資源の少なさや多発する自然災害、深刻な労働人口減少といった構造的な課題を抱えています。

 これらを解決し、経済成長の足かせを外すため、経産省・国交省が主導する2040年の「フィジカルインターネット(PI)構想」のゴールに自動車物流をビルトインさせる協業が始まりました。

 目指すのは、個社単位の個別設計から業界連携による全体最適への転換、そして部品リサイクルなどの逆物流(帰り便)を活用した高効率な資源循環です。

 また、災害時にも代替ルートや複線化によって「止まらない物流」を維持するレジリエンスの強化を目的としています。

 足元の現状として、幹線陸上輸送の帰り便の約7割が空車の状態で走っていると推測されており、ここに大きな改善余地があります。

 効率化プランは、帰り便の活用効果が大きい「完成車物流」の協業から段階的に開始し、2028年末までに体系的な仕組み化を目指します。

 さらに用品・補修品物流では、いすゞ自動車の帰り便でトヨタ自動車の補修品を運ぶといった事例(25m連結トレーラーの活用など)を積み重ねていきます。

 これを支える共通データプラットフォームの構築にあたっては、各社の生産計画(どこで何台作っているか)が漏洩しないよう、公正取引委員会の指導・アドバイスのもとで厳重なアクセス制限と機密管理を徹底したシステムが必要だとしています。

 また、現場レベルの取り組みとして、車両をキャリアカーに固定する「コバク」と呼ばれるやり方が各社でバラバラであるため、どの車でも積載できるよう足元からの共通化を進めます。

 今年の夏までには過去の運行データを集め、共同物流による効率化のシミュレーション結果を算出する予定です。

まずは自動車カレンダーの見直しから
まずは自動車カレンダーの見直しから

 そして3つめは、「人材基盤の強化(自動車カレンダー見直し)」です。

 安定的な開発・生産体制を維持するため、自動車カレンダーの変更を通じた産業の魅力向上に取り組みます。

 これは、自動車産業が将来にわたって選ばれる産業となるため、業界一体となった働き方改革を推進し、生産性の向上を狙います。

 第一歩として、2027年度から「GW連休の平日を稼働日に変更」、「1月10日や9月20日などの『ハッピーマンデー』を休日化」を実施する計画です。

 なお2027年度時点では全体の休日数は増やさず、世間の休日に合わせて配置を「移動」させることが最初のステップとなります。

 連休前後に集中しがちな設備工事や切替作業を平準化して生産活動を安定させ、人員手配の効率化を図るとともに、ゆくゆくは休日増加も含めた多様な働き方に対応できる産業構造への進化を目指します。

 自工会の佐藤会長は新7つの課題の進め方について、「整ったものからやっていくのではなく、出来るものから」というように、課題制定から遂行までのスピード感を高めた動きで進めていくと話しています。

 そんな自工会の課題のなかで、今回筆者は「自動車カレンダー」に着目。会見の質疑応答では、カレンダー変更の運用方法や「魅力ある産業」について質問。鈴木副会長(スズキ)は次のように回答しています。

ーー 自動車カレンダー見直しについて、2027年度からの変更は、参加企業が一斉にスタートするのか、可能な会社から順次始めるのか。

「カレンダーの変更はOEM各社が足並みを揃えなければ一律の展開が困難です。そのため、まずは完成車メーカーが先行して取り組みます。

 各企業へ強制するものではなく、例えば、部品の在庫を貯めるなどの準備が完了したところから段階的に進めてもらう想定です。

 また、2027年度の段階では休日数が増加するわけではありません。まずは休日を世間に合わせて移動させることが第一歩です。

 これまで大型連休に集中していた設備切替などを平準化し、生産活動の安定と効率化を図ります。

 休日数の増加については各社の労使間で議論すべきテーマであり、将来に向けた別次元の課題として順次取り組んでいく認識です」

ーー この施策を通じて具体的にどのような形で『魅力ある産業』を実現していくのか?

「自動車業界はどちらかというと昭和の高度成長期以降、生産効率を最優先して稼働日を集中させてきました。

 その結果、『家族と休みが合わない』『世間のカレンダーと異なる』といった課題が生じており、これを解決したいと考えています。

 現在は大型連休に頼らなくても設備工事を分散できる技術が育ってきました。

 世間と同じタイミングで休みを取り、家族とリフレッシュすることでモチベーションを上げ、日々の生産活動の生産性を高めてもらう。

 そうした好循環を作り出し、クルマづくりやモノづくりの面白さを理解してもらうことで、魅力ある産業に変えていきたいと考えています」

※ ※ ※

 自工会が推進する課題解決策は、水素利用の拡大や物流改善など広範囲に及びますが 、自動車カレンダーの変更は現場の労働環境改善に直接関わる施策です。

 効率優先の歴史を見直し、世間と休日を合わせる第一歩を踏み出します。持続的な業界成長と多様な働き方の実現に向けた今後の動向が注視されます。

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Writer: くるまのニュース編集部

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