神戸マツダが本気でつくった自動車整備専門学校「MASTeC KOBE」開校! 整備士不足の課題解決目指し“社会のヒーロー”を育成 校長はロードスター元主査
神戸マツダが設立した「マツダ自動車整備専門学校 神戸(MASTeC KOBE)」が2026年4月9日に開校しました。自動車整備士不足が深刻化する中、最新設備と人間教育で次世代のエッセンシャルワーカーを育成し課題解決を図る新たな学び舎が誕生。一体どのような学校なのでしょうか。
ディーラー自らが立ち上がる、整備士不足解消への挑戦
2026年4月9日、兵庫県神戸市にて新たな教育の拠点である「マツダ自動車整備専門学校 神戸(MASTeC KOBE)」が誕生しました。
日本の交通インフラを支える自動車整備業界は、現在、有効求人倍率が5倍を超えるという慢性的な人手不足に直面しています。
この深刻な社会課題に対し、今年9月に創業85周年を迎える神戸マツダは 、「社会課題は企業の使命」という強い信念のもと、自ら「人財」を育成する専門学校を設立しました。

入学式において、学校法人5HAPPYマステック理事長 兼 神戸マツダ代表取締役社長の橋本覚氏は、構想から5年、実動から3年という歳月を「ここに至るまでには壁も多くありましたが、制約を力に変え、大義を見据え、初心を貫き通し、本日を迎えることができました」と振り返ります。
また「“社会課題は企業の使命”、そしてそれを解決するとの想いから、エッセンシャルワーカーである自動車整備人材の育成という事業に乗り出し、その想いが今日形になりました」と延べ、このような想いの強さが地域や業界、社会を動かし、今後自動車整備士をはじめとするエッセンシャルワーカーの社会的地位が向上すればこれ以上ない喜びであると語りました。
同校は単なる技術者の養成所ではなく、深刻化する自動車整備士不足の現状を打破し、日本の交通インフラを守るという強い使命感のもと、国内外から広く優秀な「人財」を募る魅力ある教育機関を目指しています。
入校時から“自立型人間”の育成に注力し、礼儀正しく利他の心を持って自己実現と社会貢献を両立できる人財を輩出すること、そして自動車ディーラー設立という強みを活かし、現場に即した実践技術と、エンドユーザーの共感を得られる高いコミュニケーション能力を同時に習得させることが大きな狙いです。
マツダブランドおよび神戸マツダ独自の提供価値を明確にすることで教職員と生徒の共感を育み、神戸マツダが掲げる「5HAPPY」(お客様の幸せ、社会・環境の幸せ、地域の幸せ、協力者(パートナー)の幸せ、社員とその家族の幸せ)の理念を実現するとともに、教職員にとっても働きやすい環境を整備し、最終的には自動車整備士の社会的地位向上に寄与することを目指しています。
「『心のエンジン』が動き出す」校長が学生たちに熱いエール
初代校長には、マツダで長年にわたり「RX-7」や「ロードスター」の開発責任者を務めた山本修弘氏が就任しました。
山本校長は、マツダでの50年に及ぶモノづくりとブランドづくり、人財育成の経験を活かし、学生たちを顧客に安心と信頼のサービスを提供し、社会をより良く変えるべく挑戦する「社会のヒーロー」へと導きます。
式典では、新入生に対し下記のように語りかけ、力強いエールを贈りました。
「皆さんには夢を描いてほしいと思います。どんな自動車整備士になりたいのか、どんな未来をつくりたいのか、社会にどんな価値を届け、貢献するのか。その夢に向かって挑戦する場所が、この学校です。
今日という日は、皆さんの人生の新たなエンジンがスタートする日です。すなわち『心のエンジン』が動きだします。“Let’s make history together” 皆さんと一緒に新しい歴史を築いて行きたいと思います。頑張りましょう!」
本校が掲げる教育の柱は「マツダ特化型教育」「自立型人間の育成」「神戸マツダの寄り添う支援」の3本です。
マツダの歴史や文化的価値を学ぶ「マツダ学」を通じて誇りを醸成し、「原田メソッド」(教育者の原田隆史氏が体系化した「自立した人を育てる」教育手法)を用いて目標達成に向けた強い心を育みます。
また、現場経験豊富な教職員による指導に加え、実際のディーラーでの顧客体験を通じて、ユーザーに寄り添える高いスキルを身につけていきます。
さらに、学生が着用するユニフォームは、元マツダのデザイン本部長である中山雅氏が意匠を手がけたオリジナルデザインであり、これもまたブランドの誇りを身にまとう「教育ツール」としての役割を果たしています。
空間が学びを支える、機能美と最新設備が融合した新校舎
新たに建設された校舎も、教育理念を具現化した設計となっています。
外観はマツダの新世代店舗と同じコンセプトカラーをまとい、マツダの思想の中で学んでいることが自然に意識できるようなデザインとしました。
正面に配されたガラスの壁は単に開放感を演出するためのものではなく、外から校舎内の様子が感じられ、中にいる学生の活動が地域や社会と切り離されない、学校が“囲い込まれていない”状態をつくっているといいます。
1階の実習室は、ディーラーのサービス工場と全く同じ環境を再現しており、405平方mの広々としたスペースにリフト6基と検査ラインなどの機器を設置しています。
実習設備は、自動車ディーラーで実際に使われている最新鋭機器と同じとのこと。学校と社会のギャップをなくし、卒業後に違和感なく働けるようにしています。
設備は詰め込まずリフト間の幅に余裕を持たせました。この「余白」は、学生が移動しやすい、教員が全体を見渡せる、声掛けや確認がしやすいなどの効果をもたらし、事故を防ぎ、指導の質を上げるための空間として役立ちます。
天井高は5.05mと高く確保され、リフトで車両を上げた状態でも学生が安全かつ無理のない姿勢で作業に集中でき、周囲確認・危険予測などを身体で覚えられるよう配慮されています。
2階には、談話室や実習室を用意しました。1階で行う車両を用いた総合実習とは役割を分け、自動車を構成する要素ごとの理解を深めることを目的としています。
大実習室ではエンジン・ブレーキ・シャシーなどといった「機械的な構造や力の流れ」を理解するための実習を行います。
小実習室では、電気回路・電子制御・センサー・アクチュエーター・制御ユニットの構造といった、「電気・電子制御関係の構造理解」を中心とした実習を行います。近年の自動車整備においては「機械」だけでなく電気・電子制御の理解が不可欠となっており、同校では部品単位・回路単位で可視化しながら学ぶことを重視します。
そして3階の座学教室では、従来の「板書を写す」授業から脱却し、ワイドプロジェクター「ワイード」を活用した情報の共有と対話を重視する学習スタイルを導入しています。

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MASTeC KOBE第一期生として入学したのは、18名の男性と3名の女性からなる21名です。その出身地は、地元兵庫県を中心に、静岡県、大阪府、奈良県、岡山県、徳島県、香川県と広範囲にわたっており、中には学び直しを志す社会人も4名含まれています。
多様な背景を持つ仲間たちが、ここ神戸の地で「2級整備士」の取得を目指し、2年間の研さんの日々をスタートさせました。
卒業後は、マツダグループのみならず様々なディーラーや整備工場への就職も可能です。
自動車整備士の社会的地位向上を目指すMASTeC KOBEの開校は、日本のモビリティ業界における大きな挑戦の始まりと言えるでしょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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