高潮で全損のフェラーリ51台… 海水を浴びた新車のフェラーリはその後どうなる?
海水を浴びたフェラーリを修理して乗ることは可能か?
――もし、保険適用となった場合、これらのフェラーリはどのような扱いを受けますか?
仮にも保険会社から全額支払いを受けられる場合には保険会社が車両を引き上げる形になると思います。保険会社も採算を考えますので保険会社の下請け関連会社に売却されると思います。解体して部品取りになったり、海外に輸出されたあとフルレストアしたりなども考えられます。保険会社の手に渡った以上、正規ディーラーは一切関与しません。やはりブランドバリュー命ですので。
――海水を浴びたフェラーリを、修理して乗るとしたらそれは可能ですか?
修理は可能ですが、時間と費用がかかりすぎて、通常に購入したほうが安心安全です。修理金額は車種によって様々ですので一概にはいえません。海外に出ると、水没車両も修理して売る業者がたくさん存在するのも確かです。できる限り安く修理して売る。そんな車両を水没車として理解した上で買うユーザーもいます。
※ ※ ※
高潮被害を受けた3日後の9月7日に現地を訪れてみました。しかし、すでにフェラーリは大方、移動されたようで、残っていたのはサーキットで大破したと思われるフェラーリ458チャレンジのみでした。不動のフェラーリ51台は、すでに別の場所に移されたようです。
最初の高潮警報が出てから実際に海水が侵入するまで10時間近くはあったようなので、その間に安全な場所に移動していれば……。こんな被害にはならなかったかもしれません。
【了】
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。